玉川上水日記

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映画「英国王のスピーチ」

英国王のスピーチ
2010年 / イギリス、オーストラリア / 監督:トム・フーパー / 実在の人物を題材にした物語


【あらすじ】
吃音症に悩まされた英国王ジョージ6世(コリン・ファース)と、その治療にあたった言語療法士ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)の友情。

【感想】ラストには触れていません。
大英帝国博覧会閉会式のスピーチから映画は始まります。

もうねえ、王族というのは大変だなあと思いますよ。こんな大群衆の前でスピーチしなければならず、うまくできて当たり前と思われる。誰に代わってもらうこともできない。失敗すると、みんなあからさまにガッカリするし。そ、そんなガッカリせんでも‥‥。きみらは失敗したことないんか!と思います。

Amazonのレビューを観たのですが、この映画に対して好意的な評価はとても多いですね。それも、吃音症の方からの評価が高い。この苦しみが本当にわかるのは、やはり同じ苦しみを抱えている方なのだと思います。

ジョージ6世の兄であるエドワード8世(ガイ・ピアース)との対比も面白い。エドワード8世は自由というか無責任というか、やりたいようにやっちゃう人である。アメリカ人で離婚歴のあるシンプソン夫人との婚姻を望み、王位をほっぽりだしてしまう。王であっても好きに生きればいいと思うし、代わりなんていくらでもいるのだから自由にすればいいと思います。

代わりがいないと思い込んでいるのは本人だけであって、国王が代わろうが首相が代わろうが本当はなんとかなるのだ。しかし、逃げたら逃げたで大変なのだろう。一生「あいつは王位をほっぽり出して逃げた」と言われ続けるのだから。そして、一方で逃げ出さなかったジョージ6世がいる。逃げるのも大変なら逃げないのも大変である。

こういう責任感の強い人がいるから、社会ってのはうまくいくのでしょうなあなどと感心した。わたしなら、そんなにつらいなら逃げちゃえばと思うので。

言語療法士ローグとの治療シーンも良かったですね。ローグは、オーストラリア出身だからか、あまり王様にビビッていない。というか、ちょっとバカにしているかも。お茶目である。

王と自分は対等であるという現代人に近い感覚を持っているのかもしれない。言いたいことはズバズバ言います。ジョージ6世が診察室でタバコを吸おうとすると、ここで吸うなと取り上げる。王が怒っても「は?お前が王様とか関係ないし。ここはワシの診察室!」という態度。王様はプンスカ怒って、かわいい。でも、結局は言うことをきくのである。

二人は友人となってその友情は終生続いたらしいですが、やはり友人とは対等な関係でないとできないのだろう。王様ってのは誰からもかしずかれるが、親しい友人の一人も持てないのなら、その孤独はいかばかりかと思います。その点、ジョージ6世は幸せかもしれない。変わり者の言語療法士がそばにいたので。


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