サロゲート
2009年 / アメリカ / 監督:ジョナサン・モストウ / SF
超引きこもり社会到来。
【あらすじ】
近未来、生活のすべては「サロゲート」という人間そっくりのロボットによって行われていた。人間は家に居て、サロゲートを遠隔操作して仕事や外出をする超引きこもり社会が実現していた。
そんな中、サロゲート破壊事件が発生。緊急時には安全装置により守られるはずだった操縦者が死亡。サロゲート社会を脅かす事件に。FBI捜査官トム・グリアー(ブルース・ウィリス)が捜査を開始する。でも、家から出るのが怖いんで、捜査もサロゲート経由でやるよ。おんもが怖い。
【感想】 ネタバレしてます。
Amazonのレビューや、最大の映画データベースサイトIMDbでも評価が厳しい。でもこういう映画、好きです。
みな、自分の分身であるサロゲートを操って恋も仕事もするってことで、かわいい女の子のサロゲートの操縦者がおっさんであるということもあります。ブルース・ウィリスは家にいる本体は髪がないのですが、サロゲートは金髪をなびかせています。ブルース、金髪に憧れていたのか‥‥。なんと不憫な子。そんなわけで、みなサロゲートを美形にするから街には美男美女しかいません。オンラインゲームの世界みたい。
話がゴチャゴチャしていたり、犯人の動機が弱かったり、サロゲート社会のセキュリティが脆弱(一人によって全世界のサロゲートを破壊可能)など粗が多いせいか、あまり人気がないのかも。
結局、サロゲートを全部破壊してみな自分自身に戻っていく話でした。サロゲートを全部破壊して万々歳というのは、それこそPCを全部破壊して、これでリアルが充実するね!というのとそんなに変わらないんじゃないかと思います。ちょっと結論が単純すぎるような。そこまで技術全部を否定するようなもんでもないと思うけど。
で、ラストはブルースの奥さんが引きこもり部屋から出てきます。家庭内でもサロゲートを介して会うから、家族といっても直接は会わないのである。かなりレベルの高い引きこもりである。ある意味、うらやましい。わたし、サロゲート社会になってもかまわないのだが。たまに脳みそ焼かれて死にますけど。
その奥さんもサロゲートのような美女ではないにしろ、歳相応の美人なんですよね。そこでブルースが彼女を抱きしめて、めでたしめでたしという。でもそれだと、成りすまし社会だったサロゲートの問題は描けていないのではないか。
この奥さん役に、観ている側が落ち込んで絶望するぐらいの物件を用意しておいて、「ああ、サロゲートを否定してみたものの現実はこうなんだよなあ‥‥。それでも我々はサロゲートを否定すべきなのか。どうなの?ねえ!」という葛藤に満ちた終わりにしてもよかったかも。しかし、いったいそれは誰が得をするのか。後味がものすごく悪くなります。需要がない。
JUGEMテーマ:映画