玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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雷雨

▼今日も短時間にものすごい雨と落雷があった。少しではあったが雹も降った。この前は竜巻が起こったし、まったく最近の気候はどうかしてる。だが、そもそも地球は人間が暮らすようにできているわけではないのだから、気候が不安定でも当たり前である。地球は今まで5度の大絶滅を経験している。むしろ、今までどうにかこうにか暮らせていたことこそ奇跡。地球さん、ありがとう!

でました。わけのわからない始まり方。

▼わたしは家から直接打ち合わせ場所に向かっていたが、みな大丈夫だろうかと心配になった。打ち合わせ場所は新宿の喫茶店だった。今日の打ち合わせに参加する予定のTさんから連絡があった。彼女は、まだ会社を出ていない。「わたし、雷苦手なんですよ~」と少し困った様子だ。

当たり前である。どこに雷が得意な人間がいるか。みな、当たったらおへそを取られる。おへそを取られるならいいんだけど、だいたい死ぬ。現実って怖い。

つまり、彼女が主張したいのは「わたしは会社から出たくありません」ということである。まったく企業戦士の風上にも置けぬ存在。そんなことで24時間戦えますか。戦えませんね。けしからん。

けっこう。この戦場はわたし一人で戦うしかないと腹を括った。と、またもや携帯がなった。打ち合わせの相手だった。なにやらゴニョゴニョ言っているが、どうやら打ち合わせを延期したいという雰囲気が伝わってくる。だが、「雷雨だから」というのはちょっと恥ずかしいから、そちらはどうでしょうか?という感じなのだ。おまえもおへそを取られるのが嫌か。それでも企業戦士かね。

気を遣って「もしよろしければ後日、あらためてということでいかがでしょうか?」と訊けば「そうですね!」と力強く食いついた。「後日、あらた‥」ぐらいで「そうですね!」がきてた。まったく、どいつもこいつも根性がない。

わたしはといえば、打ち合わせ先で一人茫然としていた。急にヒマになった。久しぶりに新宿で打ち合わせだから、あのパスタ屋でお昼を食べて、紀伊國屋書店によって、電気屋寄って、中村屋が近いから昼は中村屋のカレーでもいいな。どうしようかな。ウフフフ。打ち合わせ前に、いろいろまわろーっと!と早めに家を出ていたのである。

新宿で3,4時間遊んで打ち合わせにのぞもうと思ったら、新宿で3、4時間遊んだだけになってしまった。まあ、いいんです。今日も一日楽しく遊んで帰った。

しかし、わたしも雷雨のさなか打ち合わせに向かわなければならないとしたら、ちょっと渋ったような気もする。新しいゲームを買ってもらった翌日は、たいてい「調子が悪い」と学校をズル休みしていたわたしであるからして、あの雷雨だったら「今日ね~、家の鍵がないから親が戻るまで外へ出られない」ぐらいは言う。おっさんになった今でも言う。企業戦士は、5度の大絶滅で滅んだのを思い出した。