玉川上水日記

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映画「007 カジノ・ロワイヤル」

007 カジノ・ロワイヤル
2006年 / アメリカ / 監督:マーティン・キャンベル / アクション映画

【感想】 ネタバレなしです。
主演のダニエル・クレイグは、かげりのあるジェームズ・ボンドですね。やや沈鬱とさえいえる。3万円ぐらい落としたときの顔をしている。他のジェームズ・ボンドより明らかに暗い。

といってもわたしはショーン・コネリーやロジャー・ムーアのジェームズ・ボンドは観たことがなくて、ピアース・ブロスナンのをちょっと観たぐらいです。ピアース・ブロスナンて草刈正雄に似てると思いますがどうでしょう。どうでもいいか。

ピアース・ブロスナンのやつは能天気で爆発が多いという、いかにも娯楽作品という感じ。この作品はけっこう真面目な雰囲気なんですよね。ボンドさんが「スパイなんか長くやってると、ちょっと人間として駄目になりそうなんで結婚してやめちゃおう」というシーンもある。そこだけ取り上げると腰掛けOLみたいである。でも真剣なのです。本当に。

まずオープニングのアクションシーンからしてすごく真面目ですね。パルクールのセバスチャン・フォーカンを起用して街中で追いかけっこするのですが、あれだけ運動能力が高い人がやる追いかけっこは観ていて楽しい。パルクールの定義はわからないのですが、街中でかっこつけて移動するスポーツなんでしょうか。動きがすごいよ。

パルクールの動画がyoutubeにありましたので興味ある人は。

で、オープニングの追いかけっこでグッと心をつかまれ、その後には美女。ホテルの受付が美女だったり、客も美女、追跡しているターゲットの奥さんが美女という意味の無い美女尽くしがすてき。銃・車・美女、これぞ華やかな世界という。そういう華やかさを描きながらも、今回はボンドが拷問されるシーンなども入っているのでやや重い感じはする。

現実ではスパイというのは捕まれば拷問を受けたり殺されもする。その陰惨さを感じさせず、華やさやスマートさだけをどうクローズアップするかというのが今までのスパイ映画ではないでしょうか。明るく楽しいスパイみたいな。ただ今回って、拷問やオープニングで相手を射殺するなど、わりと暴力シーンがギリギリなんですね。世知辛い世の中でございますよ。

難しいのは、あまりにリアルさを追及してしまうと気楽に楽しめなくなってしまう。かといってトントン拍子に話が進みすぎるのもご都合主義的な感じがして興醒めしてしまう。この按配が難しい。今回はそのバランスが絶妙だったように思います。ボンドカーや秘密道具がほとんど出ないのも、作品の雰囲気を保つためなのかもしれません。あれはリアリティゼロだしなあ。好きなんだけど。

ボンドガールのエヴァ・グリーンもちょっと地味な感じはしたのですがダニエル・クレイグが地味なんで合っていた。ストーリーは二転三転し、起伏があって面白かったです。陰気だけどがんばっているクレイグさんの活躍を見逃すな!
陰気とかいうな。

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