玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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押す

▼友人A子に会った。正月に増えた体重がまだ戻らないらしい。
「戻らない」というのは本人の評価だが、戻るもなにも1ヶ月経ってそのままなら、その体重が本来の体重になってしまったのではないか。しかし、今年のわたしは指摘しない。

去年ならば「いや、それもう体に吸収されちゃったから戻んないんじゃないのー。お気の毒ー!どすこーい!」などと言っただろう。そんで叩かれる。今年のわたしの抱負は、余計なことは言わない。無言でうなづくのみである。

しかし今年の寒さはすごい。A子も、しきりと寒がっていた。その様子を見て、つい抱負を忘れてしまった。
「太ったことの唯一のメリットが寒さに強いことなのに、なんのために太ったかわからないなー。ハッハッハ!どすこーい!」と言った直後、のどの下、鎖骨と鎖骨の間の窪んでいる急所を親指でギュ―ッと押された。そのまま無言で力を加えて親指を押し込んでくる。慣れている。

気道が圧迫されて、グェーッ!となる。わたしがむせて苦しがる様子を見てニヤリとした。やつの目は本気だった。あれは人を殺したことのある目。3人は殺してるね。わたし、わかるんです!

父親から「痴漢に襲われたらそこを押せ」と言われたらしい。
痴漢に襲われなくても押す人に、そんなこと教えんでも。とにかくやつは押す。フェイスブックの「いいね!ボタン」感覚で押してくる。ちっともよくない。

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