玉川上水日記

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映画「パンズ・ラビリンス」

パンズ・ラビリンス 
2006 / メキシコ・スペイン・アメリカ / 監督:ギレルモ・デル・トロ / ファンタジー
 
【あらすじ】
スペイン内戦で父親を亡くした少女オフェリア。彼女は母親と友に、母親の再婚相手である独裁政権軍のビダル大尉に引き取られ、森の中にある軍の砦に住むことになった。大尉の冷酷な態度、レジスタンスとの抗争など、砦の暮らしはオフェリアにとって楽しいものではなかった。ある夜、オフェリアの前に妖精があらわれ、彼女を森の奥の迷宮へ導く。

【みどころ】
幻想的な迷宮世界、そこに棲む怪しい生き物。お薦めです。

【感想】 ネタバレしてます。
「ハリー・ポッターと賢者の石」と似たファンタジーかと思っていました。始まった直後に、無実の狩人がワインの瓶底で鼻を何度も殴られて殺されるあたりから、「あ。違うんだ」とね。始まって5分だけど。

けっこうきつい描写が多いです。わたしは痛そうな描写が苦手なのですが、この映画はシナリオだけでなく、映像、音楽もいいのでそれだけで観ないのは惜しい気もします。あと、虫も出る。巨大ダンゴ虫が、体を這うよ!

映画は二つのパートから成っていて、砦での暮らしの現実部分、理想の王国に行くために牧神から与えられた試練に挑む幻想部分に分かれます。しかし、この幻想がオフェリアが現実から逃れるために作り出した妄想なのか、本当に存在すると捉えるかは観客にゆだねられています。その部分が明示されないということは観客の好きにとればいいということでしょう。

わたしは、この幻想は、オフェリアの生み出した妄想だと思いました。ラストシーンは、オフェリアを地底の王国で王、女王、牧神が出迎えて終わります。この王は、スペイン内戦で死亡した彼女の父親(作品内に登場していない)らしき人物、女王は彼女の母親でした。そして、椅子に1つ空きがあり、それはこの王国の王女である彼女のための椅子なのでしょう。これが彼女が望んだ理想の世界なんだと思います。

ラストでオフェリアを殺さないという選択もあったのではと考えました。オフェリアが王国にたどりついて、めでたしめでたしというような。でも監督はその選択をしませんでした。

オフェリアというのは、スペイン内戦とそれ以降続くことになった戦いで死亡した人々の象徴であり、だからオフェリアが死なないというのはありえない。そこで多くの命が失われたということをなしにすることはできない。しかし、せめて彼らは死後、彼らの望む世界で幸せになってほしいという願いを表したのがあのラストシーンと解釈しました。

【お気に入りシーン】
この映画、キャラがまったくかわいくないんですね。牧神もなんだか気味が悪いし、生肉のような切れ端をクチャクチャ食べているシーンがあります。妖精も、かわいらしい姿とはほど遠く、どちらかというと悪魔っぽい。全体的に不気味。

ちょっと笑ってしまったのが、オフェリアが牧神に命じられて短剣を取りに行くシーンである。牧神は「ご馳走が置いてあるけど絶対食べるな」と言います。

奥に座っているのが番人です。ご馳走がたくさん並んでます。

番人を確認するオフェリア。
盗み食いする気マンマンである。


ブドウ、一粒ぐらいならいいよね?
ということで食べよう食べよう。

妖精さんはとめています。

キーキーうるさい妖精に、むかつくオフェリアさん。「うるせーな、コイツ」という顔がいい。

この後、妖精を手で払いのけます。

で、ブドウを食べると‥‥。

オハヨウゴザイマース!

この世界で大ブームの挨拶のしかた。

ステキすぎる。

ブドウうめー!ってんで、まったく気づかないオフェリアさん。

志村ー!うしろ!うしろ!の名シーン。
古典である。

妖精うめー!

必死に両手で口の辺りを抑えて抵抗する妖精さん。食われます。全体的にオフェリアが悪い。この後、オフェリアも追っかけられる。

 
大人気の番人さんをもう一枚。べつに顔の部分に手を持っていかなくてもいいのに。おもしろいからやってしまうサービス精神。さすが番人様。おもしろ怖い。
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