玉川上水日記

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人生いろいろ 映画「二重誘拐」

二重誘拐 
2004 / 米・独 / 監督:ピーター・ジャン・ブレッジ / サスペンス・ミステリー
【あらすじ】
レンタカー事業で成功を収めたロバート・レッドフォードが誘拐されます。妻は、ヘレン・ミレン。誘拐犯は、ウィレム・デフォー。好きな役者が揃っています。


【感想】 ネタバレなしです。
なんだか不思議なミステリーでした。とてものんびりしてるんですね。緊迫感がまったくない。ただ、この作品は誘拐犯と警察の攻防や、アクションシーンなど、そういったところにはまったく重きを置いていません。被害者と誘拐犯の歩んできた道、そして幸せとは何かみたいなものを描きたかったんじゃないでしょうか。たぶん。たぶんね。

ロバート・レッドフォードが誘拐された後、妻であるヘレン・ミレンはその事実を知りながらもいつもどおりに自宅のプールで泳ぎます。すーっと優雅に平泳ぎをします。この描写が面白かった。夫が誘拐されてんのになんで泳いでんの?という。

だけど、案外こんなものかもしれない。どんな大事件が起こっても日常は存在するし、お腹も空くし眠くもなる。トイレにも行きたくなる。だからプールで、すーっと泳ぐのもありなんだと思う。で、夫を心配していないかというとそんなことはなくて、気持ちを落ち着けるように泳いでいる。習慣というのはそういうものかもしれない。

ただ、孫の誕生日プレゼントを買いに行ったりもするんですよね。それはいらないんじゃないのか。で、みんなして孫の1歳の誕生日を祝います。
「ハッピーバースデー!」って、そりゃそうだけど、ダンナは誘拐されています。

そして、誘拐犯の足取りを追っていくうちにFBIは夫の浮気の証拠を見つけてしまう。それを妻に教えます。ロバート・レッドフォードにしてみれば「なにしてくれんじゃあ!」といったところでしょうか。その浮気相手、今回の事件とまったく関係ない。余計な仕事である。

ヘレン・ミレンはこの浮気相手の家に行きます。誘拐事件はほっといていいのか。いいんです!

で、いろいろと浮気相手にひどいことを言う。しかし、浮気相手は嫌な感じの人ではなくて、むしろちょっといい人っぽい。そんで、夫のことを「すばらしい人」みたいに言う。そこにまた腹を立てる。

奥さんにしてみれば、いっそ体だけが目当てだったらよかったのに、けっこう本気でのめり込んでいやがったな、アイツ!ということでプンスカきてます。最終的には夫を許すんですが。こういう描写も面白いですね。もっとこの浮気相手が登場してもよかったかも。

そんな中、ロバート・レッドフォードとウィレム・デフォーは目的地までハイキング。休憩のときにはお互いの対照的な人生について語ります。仲良くお茶なんか飲んじゃいます。一見、成功者に見える人の人生も順風満帆なんてことはない、逆に悪いだけの人生もないとかそんな話。手前は、その話を神妙に聞く誘拐犯。

正直なところ、この映画そんなに面白くないんですね。トリックは一応あるけど予想はつくしオチもなんてことない。誘拐というより、しみじみと人生について考えるような、これはこれでいい映画です。

ただ、邦題の「二重誘拐」というタイトルはおかしい。原題は「The Clearing」(精算、掃除)で、まったく意味が違う。二つ目の誘拐などどこにも起きていない。もし誘拐されたとすれば、それはこのタイトルでいろいろと期待してしまったわたしの期待感ではないでしょうか!なんつって。


中古は、まさかの1円ですね。