▼友人夫婦の家にお邪魔する。この日記を読んでくださっている方は、こいつは週三日ぐらい友人夫婦の家に行っているのではないかと思っているかもしれませんが、そんなことはありません。そんなに通えば迷惑だし、第一わたしはそんなにヒマじゃない。ヒマです。ヒマなんですけどー。
一度お邪魔すれば4,5回分書けるので、それを日を分けて書いています。いりませんね、そんな説明。
で、先日お邪魔したところ、いつも元気なター坊(小学校2年)が泣いていた。そして父親であるわたしの友人は珍しく怒っていた。母親はニヤニヤしている。これは何かあったなと、わたしもニヤニヤした。この前にお邪魔したとき、おもちゃを部屋のあちこちに出しておいて叱られたので、またそれかもしれない。
以前、部屋におもちゃが散乱していたとき、片付けさせるためにビフォーアフターというテレビ番組の真似をしたことがある。わたしは通しては観たことがないのだけれど、問題のある家を匠と呼ばれる建築家たちがリフォームして改造する番組である。そのナレーションが印象的だった。友人夫婦の家でも、たまに観ていたようだった。
「ター坊家、それは閑静な住宅街の一角にある一軒のボロアパート。ダンボールと立て看板で造られたモダンなたたずまい。そしてこの居間に面した猫の額よりも小さな小さなお部屋、これが今回のリフォームの舞台です。このお部屋に散らばる無数のおもちゃ。これでは足の踏み場もありません。住人はおもちゃを踏まないよう怯えてくらしております。
そこで今回登場したのがリフォームの匠、ター坊先生です」
「え?ボク?」
「そうです!先生は、なんとこの危険なウサギ小屋を今から3分で魔法のように片付けてしまうとか!匠、本当にそんなことができるんでしょうか?」
「で‥‥、できます!」
「じゃあ‥‥、ヨーイドン!」
で、ター坊はそのウサギ小屋を見事に3分できれいにしました。友人夫婦からは「誰の家がウサギ小屋だ」とか「ダンボールと立て看板でできてるボロアパートってなにかな?」とか、いろいろいじめられました。それは言葉のアヤというものです。まったく思ってもいないことを仕方なく言っただけなんです。
片付けを終えたター坊に「匠、さすがの仕事でしたねー」というと「エヘヘヘ」と喜んでいた。そういうビフォーアフターごっこというのをやったことがあります。
今回、ター坊が泣いていたので、また散らかして怒られたのかなと思った。部屋にはおもちゃが散らばっていた。わたしが来る直前までは部屋はきれいだったらしい。そして、その散らばったおもちゃの尖った部分を父親が踏んでしまった。それで怒られたのだ。
泣いているター坊に話を聞いた。
「だって、しゅんくん(わたし)が来るっていうから‥‥、おもてなししなきゃと思って‥‥」
そうです。匠は、わたしが来るというのでわざわざ掃除されていた部屋を散らかして、ビフォーアフターごっこをしようと思ったのです。さすが、匠のおもてなし。普通の頭では思いつきません。頭おかしい。そんで、おもてなしって言葉、よく知ってたね。
「では、匠がみずから散らかしたこのウサギ小屋。今日は、何分で片付けましょうか?」
「‥‥、もう、そういう気分じゃない」
やらんのかーい。
匠、哀愁ただよう背中で、一人もくもくと片付けてました。