玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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バドミントン

▼請けていた仕事も一区切りつき9月末をもちまして業務終了となりました。とはいえ、まだ会社に顔を出すこともあるので完全に休みというわけにもいかないのだけど。まあ、のんびりと過ごしたいと思います。過ごしてたじゃん、今までも。ねえ。

しかし、これからは罪を犯すとまずい。ニュースで「無職」と表示されてしまう。これからは、慎重に罪を犯す!わかんないようにうまくやる!今後の抱負も決まりましたところで、心機一転頑張りたいと思います。捕まったらいいんじゃないか。

▼一緒に仕事を請け負っていたN氏と食事。N氏はエンジニアであり、常に仕事を並行して抱えている。それは個人で仕事をする者としてはしかたがないのだけど、とにかくせっつかないと仕事をしない。そんでエンジニアにしては大雑把で、いいかげんで、納期を守らなくて、もう悪口がいくらでも出る。このままいくと「人を殺したことがある」とか書きそうなのでやめる。

人を殺したことは、たぶんないと思います。わざわざ書くな。怖いから。
ともかく、仕事も一段落したので打ち上げを二人で行いました。そこでN氏の中学時代の話を聞いた。「俺が悪かった頃の話をしてやるよ」と得意げに話し出した。

彼はバドミントンをやっており、彼の中学もかなり強かったという。彼の学校にはライバル校があった。その学校にはIというキャプテンがおり、全国大会に行くような選手だった。副キャプテンのTという選手はIとはだいぶ実力差があり、並みの選手だった。だが、泥臭い戦い方でしぶとい強さをみせたという。

なんだか話を聴いているうちに、スラムダンクを読んでいる気分になってきた。その副キャプテンのTとN氏が試合をしたのだけど、ずいぶん嫌な感じの戦い方をする。声や目で威圧をしてきたり、舌打ちをしたり、地面を蹴ったり、ずいぶんマナーが悪い。試合中にネット際でお互い罵り合いながらやっていて、審判に注意されたという。

結果は、N氏の勝ちだった。N氏は勝ったものの試合内容があまりに腹立たしかったので、試合後にTをつかまえて言ったという。
「おまえさあ、打ち方に欠点があるんだよ。それがわかんない限り、I(キャプテン)にはずっと勝てないだろうな~」
実のところ、たまたま勝ったものの欠点なんてわからなかったそうである。ただただ、Tを悔しがらせてやろう、「ざまあみろ」と言いたいがためにこんなことを言ったという。さすがN氏、勝者のくせして尋常ではない器の小ささ。小物っぷりが際立っている。

N氏の言葉を聞いたTは怒ったり悔しがったりするかと思ったら、急にその場に土下座した。周囲も突然のことに唖然としたらしい。そしてN氏に「どうかその欠点を教えてください!」と頼んだそうである。N氏は試合内容に腹を立て、ちょっと悔しがらせてみようと思っただけなので言ってることに根拠などない。いきなり土下座されて困ってしまった。N氏は、その場を取り繕って逃げようとしたらしい。

「欠点は……、今は言えない」

「どうしてですか」

「……、今言うとおまえのためにならないと思う」

なんだ、その師匠気取り。変なスポコン漫画である。理由を聞きたがるTを振り払い、それでもすがりついてくるTに「じゃあ、電話番号書いて。あとで教えるから」とわけのわからない言い訳をして逃げ出したN氏だった。

N氏は連絡を取らなかったという。そもそも口からでまかせ男なので、言うことなんかないのだ。週があけて月曜日、授業を終えて帰ろうとすると学校の門のところにTの姿が見えたという。N氏はTの熱心さが怖くなってしまった。あと、相変わらず言うことも思いつかない。N氏は裏門から帰ったという。次の日もTが待っている姿が見えたという。N氏はやはりビビッて、裏門から帰ったという。

このままだといつかは捕まってしまう。しかたがないので、その晩Tに電話した。
「あの、おまえの欠点の話だけど、あれはもう克服された。大丈夫!」と言ったところ「適当なこと言うな」と、罵り合いになったそうである。当たり前である。結局、その後は特に何もなかったらしい。今と変わらず口だけである。スポコンにいくかと思いきやなんだかよくわからない話、をお送りしました。まったくスラムダンクっぽくならなかった。

今、考えるとN氏の「俺が悪かった頃の話」というのは「俺の頭が」ということでしょうか。たしかに、否定できない。

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