玉川上水日記

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時代劇「101回目のプロポーズ」 NHK「渡辺謙 アメリカを行く」

▼ドラマ「101回目のプロポーズ」が時代劇で舞台化という記事を読む。

キャストは以前と同じく武田鉄矢浅野温子。武田は62歳、浅野も50歳ということで、いやあ本当にねえ、ちょっとなんとも言いがたい。今なぜこれなんだという。

観たいか観たくないかといえば、怖い物みたさで観たい!なんかすごいものが観れそうである。気になるのは、あのトラックの前に飛び出したときの名ゼリフ「ぼ、ぼ、僕は死にましぇ~ん!!」である。こうやって活字にすると、ほとんど悪ふざけでしかないが名ゼリフなのは間違いない。時代劇に舞台を移したことで、あのシーンはどうなるのだろうか。

やはり妥当なところだと馬だろうか。馬の前に飛び出すのは、ありそうである。しかし、大八車などもなくはない。まあ、カゴはないだろうなあ。迫力不足だし。熊はどうなんだろう。熊の前に飛び出して「僕は死にましぇ~ん!」とやっても、死ぬかもしれない。熊は空気を読まない。

やはり時代物ということで合戦か。自分は合戦に行くが絶対に死なない、そう浅野に宣言をしてから戦場におもむくのである。時代劇なので「僕」ではないかもしれない。「わたし」か「拙者」だろうか。

「拙者は死にましぇ~ん!」

死んでいいと思う。

いつかケーブルテレビでひっそり放送してくれると嬉しい。必ず観ます。

▼8月15日夜7時半からNHKで放送された「渡辺謙 アメリカを行く」を観ました。

9.11テロ発生後、アメリカで起きた在米アラブ・イスラム系の人々への暴力や差別。それに異議を唱えたのが当時、航空行政のトップである運輸長官だった日系二世のノーマン・ミネタさん(日本名・峯田良雄)である。渡辺謙さんがミネタさんの足跡をたどり、インタビューをしたドキュメンタリーである。

太平洋戦争当時、日系人たちは強制収容所に隔離され過酷な体験をする。人種差別、理不尽な財産の没収、真冬には零下三十度にもなる収容所の生活、そんな少年時代をおくったミネタさんだからこそ、再びアメリカがあやまちを繰り返してはならないと思ったのでしょう。

9.11テロ後、アラブ・イスラム系の人々への反感、疑念は膨れ上がっていた。政界やマスコミが彼らへの差別を暗に認めるような雰囲気の中、ミネタさんは人種による差別禁止を貫きとおしました。空港の荷物チェックの際、アラブ・イスラム系の人々に対する人種による選別・差別(人種プロファイリング)の禁止を宣言します。もし、彼らにだけ執拗なチェックをするというなら他のアメリカ人にも同様のことをすべきだと言いました。

テロリストというのは、アラブ・イスラム系の人々の中でもほんの一握りで、大多数の人は我々と同じ普通の人である。そんな当たり前のことが、あの混乱した状況では通用しなくなってしまう。国全体がバランスを失っている。

よく「戦争の悲劇を繰り返さない」と言うが、それが具体的にどういうことかといえば、このときのミネタさんの行動なのだろう。あのときの迫害の経験を無駄にせず、あらたな悲劇が起こるのを防ぐことができた。周囲の批判に負けず、正しいと思ったことを貫いた意思の強さがすばらしい。

番組の中でミネタさんは次のような言葉を述べました。

「何かについて、誰かについて、知れば知るほど恐怖感はなくなっていく」

無知こそが恐れや誤解を生み、判断を誤らせる。混乱した状況では穏やかさや謙虚さは臆病と罵られ、過激な意見がもてはやされる。愛国心を装った人種差別が起こりやすい。ビン・ラディンが殺害されたとき、街頭で「USA」と叫ぶ若者たちが映し出されていた。彼らが真の愛国者といえるだろうか。

ミネタさんはアラブ・イスラム系の人々への人種プロファイリングを食い止めた。その行動はアラブ・イスラム系の人々を迫害から守り、双方の対立を防ぐことになる。それは結果としてアメリカを守ることに繋がるのではないか。あの温厚な日系人こそが切実に国のことを考えた真の愛国者なのだと思う。 

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