▼小学生になって自転車に乗れないと恥ずかしい。友人夫婦の子ター坊は小学校2年である。まだ自転車に乗れない。明るいうちは友達に見つかるのが嫌なのか、夜に親とこっそり練習しているという。友人から「今、自転車の練習中」というメールが来たので、仕事帰りに公園に寄ってみた。
友人は自分の子ながら「駄目だ~。アイツ、運動神経ないわー」とあきらめ気味である。それは遺伝なんだけどな。もう、自転車の後ろを支えるのに疲れきっていた。わたしも彼に代わって後ろを支えたのだけど、ターボ坊はフラフラしてまったく安定しない。たまにこける。
「ちゃんと支えてくれないと困るんです!もうちょっとスピードが出るまで持っててください」
丁寧に怒られる。そんな怒んなって。
ゆっくりすると安定しないから、早くこいだほうがいいと教えると豪快にヤブに突っ込んだ。乗れてるんだけどねえ、曲がることを忘れただけで。
「光が見えました!」とか、怪しいことを言い出したので大丈夫かと思ったけど、どうやらコツはつかんだらしい。あと数日練習すれば乗れるようになるだろう。
夜になっても気温は下がることもなく、三人とも汗だくになってしまった。コンビニでアイスを買うことにした。
「お母さんには内緒だからな。好きなの選べ」
ター坊の家はアイスは一日一本という約束がある。今日の分はもう食べていたのだろう。もう一本食べられるというので、すごくテンションが上がっていた。
「アイス~、アイス~、美味しかったアイス~♪」
まだ食べてもいないのに自作のアイスの歌を歌いだした。わたしたちの分も選んで、カウンターへ持っていった。友人とター坊とわたしで三本のはずなのに四本ある。
「あ、お母さんの分も選んじゃった」
コイツー!かわいいこと言いやがってー!
結局四本買った。帰り道、三人でアイスを食べた。運動の後に食べるアイスは格別である。ター坊が食べ終わってから、コンビニの袋をのぞきこんだ。
「アイス‥‥、まだ一本あるよねえ‥‥」
オイ!さっき、お母さんの分とかかわいいこと言ったくせに。
えー、もー、これだから子どもは。どうしようもない。残りの一本は、我慢して食べずに持って帰りました。「まだ、あるよねえ‥‥」と何回も言いながら。あきらめろ。
将棋が題材の珍しい漫画である。羽海野チカというと「ハチミツとクローバー」を思い出す。あれを越えられるのかなあと、ちょっと意地の悪い気持ちで4巻までを読んでいた。しかし、5巻から6巻にかけての加速感がすごい。
いろいろな問題に対処するのに、マニュアルがあればそれなりの対応はできる。ただ、本当は問題は同じに見えても一つ一つは異なっている。こうやっていれば大丈夫なんてことはない。苦しみながら、自分なりの答えを探していくしかない。登場人物のそれぞれが、もがいてもがいて苦しみながら進む様子が美しい。
作品から伝わってくる勢いがすごい。もう、作者が乗りに乗っているというか、今、何を書いても面白く書けるんじゃないのか。楽しんで苦しんで描いている様子が伝わってくる。早く続きが読みたい。