玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ラジカセ

▼ラジカセのCD部分が壊れた。ずっと前にテープが壊れ、今回ついにCDが壊れ、ただの巨大ラジオになってしまった。20年ほど前に買ってもらったパナソニックの商品である。当時4,5万はしたのではないか。よく今までがんばってくれたと思う。

初めて買ったCDは徳永英明の「壊れかけのRadio」である。CDを売っている店も今のように大型店ばかりではなく、町のレコード屋みたいな店がまだまだあった。また、このCDショップのおっちゃんがいい味を出しているのである。長い口ひげをたくわえたヒッピー風で、ちょっと怖い雰囲気がある。何度か通ううちに少しずつ会話を交わすようになった。自分の趣味についてちゃんと理解してくれるはじめての大人に出会ったのが嬉しかった。

▼自分の部屋で音楽が好きなときに聴けるなんて奇跡的なことだった。当時、小学校高学年か中学生だったと思うのだけど、CDが摩擦で減るのではないかと思い、再生は一日一回と決めていた。アホである。そのルールに従って正座して聴き、「いい‥‥。徳永はいい‥‥」と毎日感動していた。

今、わたしのipodには20G近くの音楽データが入っている。何千曲あるのか、自分でもわかっていない。とりあえずあれもこれもと取り込んでみたものの、子どものときの生真面目さで、あれほどの期待をもって曲を聴くことはない。あんな聴き方をするのは十代だけだし、もっとも音楽を楽しんだのもやはりその頃かもしれない。

では、そんな思い出に乗せて歌っていただきましょう。曲は、サザンオールスターズで「真夏の果実」。

そこは徳永でいいんじゃないかと思います。