玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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パリコレ

▼毎年、パリコレは奇抜な衣装が発表される。

こういった衣装を着るモデルの心境というのは、どうなんだろう。オーディションに落ちまくり、苦労してやっとパリコレに出られるようなトップモデルになった。「モデルになるなら家を出てけ!」と激怒した父親に、やっと顔向けができる。嬉しさから舞い上がり、「今度、パリコレ出るんだよ!」と、あちらこちらで言ってしまう。

そして期待に胸をふくらませ、楽屋で衣装を見てみたらウナ丼三十人前みたいな衣装である。もう、気絶する。デザイナーを殴り倒す。「ちょっと!家族にどう説明すんのよ!」とかなる。モデル仲間から、ウナ子とかウナギ屋ってあだ名を付けられる。そもそも、ウナギかエイリアンかわかんないけど。ドジョウ?

デザイナーが遊びで作ったような物も多い。そういった実験が許されるのがパリコレなのでしょうかね。頭にスピーカー付けた人とか、三角錐が頭から生えてる人もいたけど。モデルはデザイナーに「おまえ、いっぺん自分で着てみろや」とか、ならないのだろうか。怒って、このウナギでデザイナーの首を絞めたりしないか心配。むしろ首を絞めてからが真のパリコレといえよう。

いえようって、なんだこれ。

▼わたしが小学生の頃、親戚から無地の銀色のジャンパーをもらった。その銀の輝きは本当にすさまじく、アルミホイルみたいだった。100メートル先からでもわかる。そのギラギラが太陽に反射すると目が痛い。

なんだか宇宙人みたいだなと思いつつ、当時のわたしはそれがかっこいいのか変なのかわからないまま学校に着て行った。周りの反応も、これはどう扱ったものかという感じだった。そのうち一人が「パリコレみたいだな!」と言った。パリコレが何かはわからなかったが、どうやら褒められたらしい。それからは、得意になって自分から「パリコレです!」とか「これからは、パリコレと呼んでくれい」などと言っていた。

ある日、テレビでパリコレの様子をやっていた。モデルの人が、頭に巨大なシイタケとか、ちゃぶ台とか、普通では考えられない変な帽子をかぶって歩いていた。ものすごくかっこつけて。それ以後は、一切パリコレと呼んでくれとは言わなくなりました。「パリコレ」って呼ばれても返事をしなくなった。あと、そのジャンパーは着なくなった。親がなんと言おうと。

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