玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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グルグル 映画「マーサの幸せレシピ」

▼友人夫婦の家に届け物。テレビではタイムショックというクイズ番組がやっていた。クイズの正解数が規定数を下回ると、解答者の座席が回転する仕組みになっている番組である。なんか、あらたまって書くと変な説明である。

友人夫婦の子ター坊(小学校2年)が熱心に画面を見つめていた。ちょうど誰かが失敗し、座席がグルグルと回転した。
「なんであんなことやんの?」

「はずした罰として、グルグルするようになってんの」

「ふーん‥‥。当たった人がグルグルすればいいのにね」

「なんで?」

「だって、はずれた人は、それだけでもうかわいそうでしょ?」

といって小首をかしげた。そんなキラキラした瞳で見つめないでください。
そのキラキラが、まぶしすぎる。

マーサの幸せレシピ / 2001 独
人付き合いに無関心な女性シェフ、マーサ。技術には人一倍自信があり、腕も認められているものの、職場では心を閉ざしがちである。ある日、姉が事故死し、娘のリナを引き取ることになる。そして、店にやってきた新しいシェフ、マリオ。彼らとの関わりあいから、他人に無関心だったマーサが少しずつ変わりはじめていく。

マーサの幸せレシピ」ってタイトルで、どうも観る気が起こらなかった。未婚女性を対象にした作品なんでしょう?どうもなあ。なにせ、幸せレシピってあたりがなんだか。こっちは、不幸のレシピしか持ってないけどな!おまえんちに送りつけるから、住所言ってみろ!着払いだから覚悟しとけ!

なんでそんなに歪んでいるのか。とにかく観てみました。べつにラブコメが嫌いではないし。「めぐり逢えたら」(トム・ハンクスメグ・ライアン)とか好きだったし。そんでこの作品、ラブコメというわけでもなかった。

観てみたら、実に地味で画面の印象も暗い。ハリウッドかと思いきや、ドイツ映画だったのである。シナリオは本当に典型的である。だが、ありふれているというより、生活に疲れた者たちが静かに再生していく様子が丹念に描かれており、好感を持った。

変わった料理よりも、サーモンのバジリコソースのようなシンプルなもののほうが難しい。そう主人公に言わせるシーンがある。この映画もシンプルでありながら、実に良かったです。