玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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佐伯選手 ゲーテ

▼5/20 西武×中日戦

スポーツを観ていると、ごくごくまれに奇跡的ともいえる試合を観ることがあります。まさしく昨日の試合がそうでした。

昨年、横浜を自由契約になった佐伯選手。41歳という年齢は、選手としてとっくに全盛期を過ぎているので引退されるのかと思っていました。しかし、中日と契約し、開幕から代打で使われるものの13打席連続無安打、打撃低調な中日の中でも、やはり1割台の打率では使いづらい。もう、やはり無理なのかと勝手に思っていました。

それがなぜか昨日のスタメン起用。若手の松井、堂上(兄)、中田、岩崎、平田など試してもいい選手がいるのに、なぜ佐伯選手なのだろうと落合監督の采配に首をかしげた。試合は、西武のサブマリン牧田投手が粘りのピッチングを展開。中日を8回まで0点に封じ込めた。また一人、いい若手が出てきたなあ。というか、中日はまたこりゃ完封負けだなとあきらめていた。今年の打率はひどすぎる。打ったら逮捕されるんじゃないかというぐらい打たない。

しかし、9回表先頭の佐伯選手が2塁打で口火を切ったかと思うと、0対5だった点差がどんどん縮まり、4対5まで追い上げ二死満塁で再び佐伯選手の打席。出来すぎである。この野球漫画のような展開。いや、これ、漫画だったら「ウソつけ。そんな都合いいことあるか」と思います。これが現実に起こってしまうのだなあ。そして、佐伯選手の逆転タイムリー。終わってみれば5打数4安打、決勝打の大活躍。

「もうだめだと思いそうになった。でも、その時に『待てよ。オレは幸せじゃないか』と思えた。だって、憧れの人(落合監督)の下で良いことも、苦しいことも経験できているんだから」(佐伯選手)

あきらめないことは勝つことよりも難しい。そんな言葉を思い出しました。佐伯選手、おめでとうございます。

▼友人夫婦の子ター坊(小学校2年)と話す。

その日は大人が5,6人いたので、ちょっと大人しい。やや、萎縮気味であった。話していたら、突然「どうやったら頭よく見えると思う?」と聞かれた。いつもだったら自然と自分に注目が集まるのだが、今日は大人の集まりだったので、なんとかそこで目立とうとしたのかもしれない。

ちょうどその時間、テレビには年配の外国人男性が映っていた。

「そうだなー。たとえば、あのテレビに映ってる人を観て『この人、どこかで観たような気がする。そういえばゲーテに似ている‥‥』とか言えば、頭良さそうかも」

過去の偉人の名前をあげると、頭良さそうに見えるかもしれない。

ゲーテね。ゲーテに似ている‥‥。うん、ちょっとやってみる」

言うやいなや、テレビの横に行き、けっこうな大声で話し出した。

「あー!この人、どっかで観たような‥‥」

突然のことに、ちょっと会話をやめてター坊に注目する大人たち。

「そういえば、ゲーテに似ています!」

得意げに発表するター坊。

うけるというより、突然なんなのだという空気に。しだいに、ザワザワしてうけたのだけど。胸を張っているター坊に一人が訊ねた。

ゲーテって誰?」

ゲーテは‥‥、ゲーテは‥‥、Jリーガーです!」

腰が抜けた。無茶すぎる。映ってるの老人なのにJリーガーって。おまえ、なんでそんなに自信たっぷりなのか。

だが、ゲーテがJリーガーというのはいいかもしれない。敗戦後のコメントが渋そうである。

「なぜ負けたか!それは、勝たなかったからである!」とか言いそう。

チームメイトから影で「へりくつジジイ」と呼ばれている。パスも、あんまり回してもらえない。

▼ちょっと日記を読み返してみた。いくつか気に入らないものを削除。このまま読み進めると全削除になるので、よす。読み返さない。読み返して面白かったら、つまり、時間をおいて面白かったら価値があると思うのだけど、残念ながらそうでもないのだった。