玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ピザ 機械の体

▼夜、友人宅でピザを注文。ピザを受け取るとき、友人が配達員に声をかけた。

「こんな雨の中、ご苦労さん」

いい人だなと思った。こういう他者への小さな配慮が世の中を良くしていくのではないか。これは大袈裟ではなく、本当にそう思っている。

さて、このように性格の良い友人がなぜモテないのだろうか。たしかにみてくれはあまり良くない。服装の趣味もいいとはいえない。太り気味で運動もしない。約束に遅刻する悪い癖もある。貸したプレステのソフトを失くしてしまういい加減なところもある。酔うと話がくどい。能書きが好きで話が長い。自分の価値観を押し付けて他人の意見を聞かないところがある。変なところでケチで‥‥あれー?褒めるつもりだったのに、あれー?なぜか悪口が止まらない。

このままだと最終的には連続殺人鬼呼ばわりしそうなのでやめとく。

いい人です。本当なんです。あれー?

▼連休中、お世話になっている会社で仕事。電話のかかってこない環境で仕事ができるのがありがたい。電話がかかってこなければ会社もそれなりによいところである。前にいた会社では、連休中こそ人が来ていた。この日は、猫好きのTさんとわたしだけで快適だった。

少し肌寒いのでひざ掛けを使っている。彼女が席をはずしたときに、ひざ掛けを広げて肩を覆うように巻きつけてみた。何かに似ていると思ったら、そうか、あれか。

「機械の体なんていらないよ!」

銀河鉄道999ごっこも終わったので仕事をする。ひざ掛けをたたんでいたら、彼女がコーヒーカップを手に持ち、背後に立っていた。彼女は何も言わずに仕事に戻った。見ていなかったようでなにより。

▼仕事に区切りをつけ食事に行った。会社で起きている問題や、Tさんの転職について話す。彼女がその問題のせいで転職を考えるのはいいが、それがこの会社特有の問題なのか、他社でも当然にある問題なのか、そこを見極めたほうがいいと思った。

別れ際にTさんがにっこり微笑んで言った。

「じゃあね、鉄郎。じゃあね!」

見ていたのか‥‥。さっきの銀河鉄道999ごっこ!その余裕はメーテル気取りか、きさま!

僕が話すのを神妙に聞くフリをしながら「鉄郎のマネしてたくせに偉そうなこと言っとるわ。笑止!」とか思っていたのか!

キーッ!この恥ずかしさから逃れるために機械の体が欲しい!売ってください300円で!

モウ、アノオンナ、シマツスルシカナイ‥‥ギギギ。

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