玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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Xメン

▼仕事場の休憩所でコーヒーを飲んでいたら猫好きのTさんがやってきた。

「難しい顔して何考えてるんですか」という。この不景気な表情はデフォルトなのです。それはともかくとして、Tさんとは同じ業務をやっているので知識を共有してもらったほうがよいだろう。考えていることを少し伝えた。

Xメンてアメコミがありますね。いくつかのエピソードは映画化されている。

Xメンとは、突然変異によって超能力を持って生まれたミュータントの集団である。そんで、マグニートーなどの敵と戦い、世界の平和を守っている。サイクロプスは目から破壊光線を出せるし、ウルヴァリンはアダマンチウムの強力な爪を持つ。それぞれ特技があるわけです。

その超能力戦闘集団に自分が加わるとして、どーゆー超能力がいいのかなと考えていた。でも、そもそもこの集団に入れるような超能力がない。簡単に身につけられる超能力ってないものだろうか。いろいろ考えた結果、今からマスターできそうなものがあった。それはバブル期のチャラチャラした言い回しである。あれ、僕にもできる。

「昨日はザギンでシースー食いーの、そのあとチャンネーと朝までポンギでオケカラ歌いーの」

こういう感じで良いのでしょうか。中山秀征師匠に教えを請わねば。こんなことではXメンの一員になれない!

そして、血を吐くような努力で逆さ言葉を身につけたわたしはXメンの一員となります。味方からは「バブル」というありがたいニックネームも頂戴する。サイクロプスウルヴァリンが悪と戦っている間、わたしは彼らが戦った後の打ち上げに使う飲み屋と二次会のカラオケ屋を予約します。

「やっぱバブルの仕切りは完璧だな」とか言われて有頂天になるわたし。しかし、そんな優雅なときも長くは続かなかった。サイクロプス先輩やウルヴァリン先輩にゴマをすっていたものの、仲間から「あいつ実はなんもしてない」という噂が出はじめる。こんなに一生懸命、会を盛り上げてるのに!カラオケではタンバリンを腱鞘炎になるほど振ってるのに!

味方や後輩からもさげすまれ、Xメンの中に居場所を失ったわたし。そして、ついに宿敵マグニートーに味方の弱点を渡し寝返ってしまう。

やっぱ悪のほうがかっこいい!マグニートー先輩、一生ついていきます!オス!

とりあえず歓迎会の場所は自分で抑えましたオス!Xメンのやつらに一泡吹かせてやりましょう!

バブルだけに~!なんちゃって!

こうして用済みとなったわたしはマグニートーに即殺されたのである。

というようなことをですね、難しい顔で考えていました。なんでしょうか、Tさんの人を見下すような目は!バブルには、曲の出だしを1秒聞くだけでなんの曲か当てる特殊能力もあるのに!

そんな目で見ないで!

田中耕一さんの「生涯最高の失敗」を読んだ。2002年にノーベル化学賞を受賞した田中さんが自ら書いたものである。印象深い部分があったのでちょっと長いですが書き出してみました。

「人間、自分がいま現在できることを100%として、それを実行しようとして失敗すると、落ち込みますよね。そうすると、今度は90%くらいをめざして、それで良しとするようになってしまう。でも、たとえ目標を90%に抑えても、やはり失敗することはあります。

失敗の原因は、かならずしも自分にあるわけではありませんから、目標を90%にしておいても、自分以外の要因で、うまくいかないことだってあるかもしれない。すると、さらにめざすところを低く設定する‥‥。こういう良くない循環に陥ってしまう可能性があります。とくに大学までの自分を含め、気の強くない人は、こんなふうになりやすいのではないでしょうか。

だからといって、はじめから200%をねらっても、それでは失敗ばかりしますから、もう少し手軽な、110とか120%あたりをめざしてみる。それなら、たとえ目標を達成できなくても、ちょっと高望みしすぎたから仕方ないな、と考えることができて、あんまり落ち込まないですみます。

ところが、120%だとたまに、できてしまうことがあります。そのような経験を積み重ねていくと、いつのまにか、120%があたりまえになります。それを繰り返していくと、120%から150%、200%へと、どんどん伸びることだってできる」

▼Xメンがくだらなかったので、かっこうをつけるために急に田中耕一さんを引っ張ってくるみっともなさ。我ながらステキ!

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