玉川上水日記

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フグ 映画「ヤング@ハート」感想

▼桜が咲いて、やっと野球も始まった。少し空の色が明るくなった気がする。日の光が柔らかくなり、風も心地良い。外を歩くと心弾む季節だ。とはいえあいつのおかげで心弾むというわけにはいかない。まあ、あいつのことは無視します。無視されるのがもっともこたえるはず。グラグラ揺れてアピールしても無駄だ。

▼ちょっと前に居酒屋でフグ皮のポン酢和えというのを頼んだ。おそらく珍味なのだろうけど、なんだかちょっとフゴフゴした味がした。あのー、ニトリとかのホームセンターで水道の水漏れ箇所に貼るガムみたいなのを売ってるけど、ああいうの?ああいうのにポン酢をつけた味です。食べたことないけど。

で、それを食べた夜に突然背中が痛くなった。運動もしてないのに重度の筋肉痛のような痛みで呼吸をしても背中が痛む。ああ、これはもう駄目なのだろうか。わたしフグの毒で死ぬのだろうか。そう考えて心細くなった。だが夜中だったし面倒なので寝た。

朝までに痛みで何度か目覚めた気がする。そんで朝になったら、まあ痛い。けっこう痛い。これはねえ、どうしたもんだろうねえ。で、フグ毒についてネットで調べると、肝にはあるけど皮にはないらしい。とするとこれはフグ毒ではないのだろう。なんだ。そうか!気のせいだったか!と自分を説得してみたものの、やはり無理だった。痛いので。

そして今に至ります。もうあまり痛まない。あいつにしろ、なんにしろいろいろ無視するにかぎる。

▼映画「ヤング@ハート」 / 2008 米

平均年齢80歳のコーラスグループを追ったドキュメンタリー。いや、これ今年一番の作品じゃないだろうか。お薦めです。2008年のだけどね。

わたしの父が退職後に地域のコミュニケーションサークルのようなところに行った。そこでは足し算や引き算などの簡単な計算や、簡単な折り紙だとか、小学生がやるようなことをやっていたという。ついこの前まで現役だったという自負もあるので、そんなことやってられるかということで一回限りで行かなくなってしまった。

もちろん年齢や能力によりできることとできないことはある。でも、どうも老人(65歳はもう老人とはいえないけど)の可能性を勝手に決めてしまっているような気がする。老人なんだからボケないようにこの程度でいいんじゃないかというような。それはやはりバカにしている。

この作品に出てくる老人は上は92歳までいて、かなり難しい曲に挑戦している。そして厳しい練習に堪え、なんとか課題曲をものにしていく。老人が無力で穏やかで弱々しいなんてことはまったくない。自分の可能性を決めていいのは自分だけなのだろう。したたかでたくましい老人ばかりである。

自分が舞台で倒れたら、舞台の袖まで引き摺って行って、残った人で再び歌い続けてほしいということを言っていた。悲しんで歌うのをやめることが倒れた人の望みではない。歌い続けることが望みということが皆わかっている。実に粋である。恐るべきジイ様とバア様たちのドキュメンタリー。

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