▼バレンタイン
今一つよくわからないイベントに秋田のナマハゲがある。唐突に提案しますが、これとバレンタインを合わせればいいんじゃないかと思う。
包丁持ったナマハゲが幸せそうなカップルを脅かし、彼女が昨晩一生懸命つくった手作りチョコを奪う。そのチョコを二人の前でむさぼり食うというイベントである。イベントか、それ。病んでいる。
今年のバレンタインはゼロでした。よかったゼロで。男にとってもっとも悲惨なのはゼロ+1ですから。ゼロのときに母親が気をつかって1個くれるという、あの地獄。
精神的に弱っているときなら、とどめを刺される。あの世への階段を一気に駈けあがってしまう。 そっとしておいて。お願いだから。
▼バレンタインの日、昼にデパ地下にいったら大混雑だった。わたしは弁当を買おうと思っただけなのだが。チョコに添えられた手書きのポップに「友チョコや自分チョコに人気!」というのがあった。
自分チョコて。自分で食べてるだけじゃないか。バレンタイン以外は、基本的に自分チョコだろうが。自分弁当を買いながら思いました。
▼友人夫婦の子ター坊(小学校低学年)から電話があった。
ター坊:チョコ、何個もらえましたか?
わたし:わざわざ訊いてくるとは‥‥ヒマなやつめ。
タ:何個もらえたの?
わ:‥‥ゼロだね。今年は偶然ゼロだね!今年は!
タ:ちょっと待ってね‥‥。おとーさーん!やっぱりゼロだって!
わ:報告すんな!あと「やっぱり」はやめろ。
タ:今週、ウチ来る?
わ:その流れで、さらっとそういうこと言えるのがすごい。
そんなことより、そっちはどうなの?チョコもらえたの?
タ:え?‥‥エヘヘ。
わ:なにが「え?」だ。さては、もらったな。何個もらったの?
タ:えーとー。おかあさんからと、あとは内緒!
わ:ほー。やるなー。で、何個?
タ:内緒!
わ:2個より多い?
タ:‥‥うん。
わ:おっとー。やるね。5個より多い?
タ:うん。
わ:なななんでっ!?何個?
タ:7個。
わ:7個!?格差社会だわー。恋愛格差社会到来だわー。嫌だ嫌だ。こっちは恋愛ハローワークに通おうかと思ってんのに。
タ:ハロ‥‥なに?
わ:ま、知らなくてよろしい。通う必要ないから。
タ:7個ってすごい?
わ:あ?
タ:すごい?7個って?
わ:‥‥。全然すごくないね!ジャニーズとか、トラックで数えるからね!今年はトラック何台分もらいましたみたいな。トラックでもらえるようになったら、やっとすごいって言えるね!
タ:しゅんくん、今年何個?
わ:‥‥ゼロですっ!
タ:アッハッハッハ!ゼロ~!
わ:‥‥。
小学生に敗北した。週末に泣かす。
▼428 ~封鎖された渋谷で~
ある登場人物がとった行動が他者の人生に思わぬ影響を与えていく。その意外性が楽しい。
複数の登場人物を切り替えてバッドエンドを回避しながら、ストーリーを読み進めていくサウンドノベルです。そのシステムの面白さにとりつかれて、前作「街 ~運命の交差点~」はすべての結末をみるほどやりこんだ。前作の発売は1998年の1月である。もう10年以上昔の話なのだなあ。街は、かなりぶっ飛んだシナリオやバッドエンドが用意されていたが、それに比べて428は道を踏み外したような奇天烈なエンディングは少ない。
前作はそれぞれがそれぞれの結末を迎えたけど、428は物語が一つの結末に向かって収束していく。前作もそうだったけど、長時間テキストを読むことになるので、登場人物にかなり感情移入してしまう。最初は癖が強すぎると思ったライターの御法川や、ひたむきな大沢ひとみ、ゴミ拾いの亜智、脇役の梶原刑事、誰かしら好きなキャラが出てくる。読み終えてしまうのが惜しくて、登場人物とこの世界をずっと眺めていたい、そんなゲームでした。面白かったなあ。ちょっとホロッとくるシーンもあった。
文章をひたすら読み、時折り出てくる選択肢を選ぶだけのものなので、まったくゲームをやったことのない人にもお薦めです。前作と完全に独立した作品なので、前作をやってからやる必要もないです。是非やって。今やって。感想聞かせて。