玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ホットケーキ

▼炊飯器で焼くホットケーキ

ホットケーキ

テレビの「ぷっすま」で、炊飯器でホットケーキを焼くというのをやっていた。特にコツなどはなくて、ホットケーキの材料を混ぜたものを炊飯器に入れて、お米を炊くのと同じ要領で炊くだけである。これならば、わたしにもできるはず。ホットケーキミックスを切らしていたので、薄力粉とベーキングパウダーなどで代用して作ってみた。

ホットケーキというと思い出すのが中学時代のこと。わたしはボーイスカウトに入っていました。ボーイスカウト時代に一度だけガールスカウトと一緒に活動したことがある。その活動とは、ボーイスカウトがカレーを作って、ガールスカウトがケーキを焼くというものだった。

それはそれは実にテンションが上がった。なにせふだんは女子とまったく接点がない。しかも、ケーキを作ってくれるというから、もうたまらない。嬉しくて鼻血が出る。ボーイスカウトもキャンプ中は自炊するので、一通りのものは作れる。しかし、ケーキなんて洒落たものは作ったことがない。「さ、さすが女子だ!」「男などという蛮族とは違う!」と興奮した。

ガールスカウトが完成したケーキを持ってきてくれた。それは、見た目が蒸しパンのようで実に素朴な雰囲気がある。一緒に食卓について、それを頂いた。それは、小麦粉と牛乳を混ぜて焼いただけの味だった。粉がギュッと圧縮された感じで、固くてパサパサである。口の中がカラカラになる。味はまったくしない。しいて言えば、草だろうか。草味。保存食なのかと思った。これは彼女たちは全然悪くない。なにせ材料が無いなかでケーキを作るという無謀な挑戦なわけだから。

正直なところ、ケーキということでテンションが上がりまくっていたおかげで、突き落とされた感はすごかった。でもそこは中学生だから気はつかう。

「う‥‥う‥‥うまい‥‥うまいよね?」

「‥‥うん。うまい」

「素朴な味だよね‥‥。俺、こういうの好き」

「俺も‥‥俺も‥‥好きだ」

無理である。気をつかえばつかうほど気まずい。そもそも彼女たちも同じ物を食べているし、それが美味しくないというのはよくわかっている。その食卓の気まずさといったら、なかった。しまいには、まったく会話が無くなった。

次は我々が作ったカレーを出したんですが、もう激ウマ。困ったことに激ウマ。あのパッサパサの後だけに、うますぎる。さらに気詰まりな雰囲気になった。

で、人一倍気をつかうOが、気をつかったつもりで「でも、俺はケーキのほうが好きかな‥‥」などと蒸し返すのである。つくづく傷口に塩を塗る男である。あの場の女子たちのOへの刺すような視線が忘れられない。早く家に帰りたい。

今回のケーキ、そのときの味がしました。とても素朴な味がしました。

おいしくないっ!

ホットケーキミックスでやれば美味しくなるのだろうか。また、挑戦しようかなあ。

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