玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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双六(すごろく)

▼正月に友人夫婦の家に遊びに行った。

正月からTVゲームはどうかと思ったので、福笑いやすごろくで遊ぼうと思ったのだけど、そういうものがこの家にない。嗚呼、日本の伝統文化はどこに行ったのか。実に嘆かわしい。

わたしの子ども時代は、それはもう正月は朝からファミコンですよ。そして昼もファミコン、夜ぐらいにテレビ。いいかげんにしろと言いたい。

で、友人夫婦の子ター坊に紙とエンピツを持ってきてもらう。

チラシの裏にすごろくを作り始めた。マスに止まると、腕立てとか腹筋、背筋、でこピン、秘密を言う、変な顔をするなどの嫌なすごろくが完成。ター坊は小学校1年か2年なのでまだ「腕」とか「腹」が読めないけど仮名を振っておいた。いざ始めてみたが、けっこうハードだった。

「秘密を言う」にター坊が止まったときは、クラスの好きな子の名前でも言うのかと思って聞いていた。

「あのね、今年はお父さんがボーナスがなかっ‥」

「ストーップ!!おまえ、もうしゃべっちゃダメ!」と、こっちが慌てた。正月から何を言う。本当の秘密を告白してどうする。ミニテロリストがいた。こっちは、好きな子の名前とか、テストで悪い点を取っちゃったとか、そういうゆる~い球を期待してるんだ。150キロのストレート投げ込んでどうする。

当たったら死ぬぞ、それ。

変な空気になりました。

その後もすごろくは継続したがなにせ疲れた。わたしが止まったマスは、

・腹筋10回

・腹筋10回

・腕立て5回

・腕立て5回

・でこピン

・しっぺ

・腕立て15回

・腕立て20回

だったと思う。そんで最後に「ふりだしに戻る」を踏んで、心を折られた。あのね、上がる前に六分の五の確率でふりだしに戻るってどうなの。子どもってなんであんなにふりだしに戻るを置きたがるのか。ちょっとは考えてほしい。考えておくように!

腕が痛いんです。

正月はそんな遊びをしておりました。昨日、また友人夫婦の家を訪れた。またター坊がすごろくをやりたがったので、刑罰が軽めのでお願いした。ター坊が「今度は僕がすごろく書くね」というのでエンピツを渡すと「腕立て」や「腹筋」「秘密」「変な顔」などの漢字をスラスラと書いていた。

「あれー?やるじゃん?漢字博士じゃん」と言うと「エヘヘエヘヘ」と、締まりのない笑いを浮かべていた。ター坊が遊びつかれて寝てしまった後、ター坊のおかあさんがノートを持ってきてくれた。そこには「腕立て」や「腹筋」などの漢字が一面に並んでいた。

こうやってどんどん自分で考えて成長していくのだなあ。ター坊の成長に少し感傷的になって次のページをめくると「上戸彩」って一面に並んでいた。

怖いわ。ストーカーのノートか。

アホで安心した。