玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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食事会

▼食事会に行ってきました。友人A子と、A子の元同僚のMさんという女性、そのMさんがコンパで知り合ったKさんという男性、わたしを含めて4人である。Mさんが、Kさんと二人きりで会うのはまだちょっとということで、緩衝材としてわたしが呼ばれたようである。

「忙しい」と最初は断ってたが、実はヒマだった。なにせ前回の日記なんて2400字弱も書いてるからね!原稿用紙6枚分て。一円ももらえないのに。奇特なお人じゃよ‥‥。そんな忙しいわたしですので、行くのを渋っていたら「美味しいカキが食べられるよ」って言うから。美味しいカキがあるとなれば、もうそれは行く。美味しいカキのためならば人をも殺す。

今回、わたしはひたすらカキを食べていた。話題も「彼女の誕生日を一緒にどう過ごすか」などの苦手分野なので大人しく聞いていた。恋愛の話になると本当に引き出しがないんですねえ。引き出しを開けてもインクの切れたボールペンとホコリしか入っていないし。

Kさんが「夜景のきれいなレストランで、彼女の生まれた歳のワインを開けながら『生まれてくれてありがとう』って彼女に言う」と言ったので気絶しそうになった。わたしはこういうセリフはきっと一生言えないのではないか。後ろ手に縛られて正座させられ、その膝の上に石の重しを三枚ぐらい載せられたときはじめて「う、うまれてくれ‥‥て、あ、ありが」

それほど?そこまでしないと言えないかね。死にかけてますけど。

まあ、人それぞれだからなあ。生まれてくれてありがとうか‥‥。前の彼女とケンカしたときに「なんで生まれてきたの?」って言われたことはあります。あんまりじゃないですか。生まれてきてすみません。真摯に反省し、今後このようなことのないよう、二度と生まれてこないようにしたいと考えております。

その他にも「彼女の歳と同じ数のバラの花を贈る」なども好きだという。
イタリア人なのか。こういうことをやる人って実は案外いるのだろうか。

Kさんは20代後半である。好きな女性のタイプも「ヤマトナデシコみたいな人が好き」というので驚いた。久しぶりにヤマトナデシコという言葉を聞いた。あれは、たしか1970年代ぐらいに目撃されたのを最後に絶滅した天然記念物だ。ツチノコとか異星人のほうが、まだ見つかる確率が高い気もする。

女の人に対する幻想もかなり強くて驚いた。あんまり幻想持たないほうがいいと思うけどなあ。Mさんは美人で、綺麗なかっこうして座ってますけど、背中にファスナー付いてるからね。そんでファスナーおろすと、ちっちゃいオッサンが入ってます。女の人はみんなちっちゃいオッサンが入ってるんです。わたしはそう信じて生きてまいりました。そんなこと考えながら美味しいカキを頂きました。