玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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▼石をもらっている。

友人夫婦の家を訪れる。彼らの子、小学校低学年のター坊に会う。最近は、会うなり石をくれる。わたしが訪れる前日に、わざわざ用意してくれるらしい。

以前に遊びに行ったとき、ちょうど外から帰ってきたター坊が石を拾ってきた。それをやたらに褒めたことがある。

子どもは、石を蹴飛ばしたり、投げたり、なんか人の顔に似てるなと面白がったり、すべすべしててちょっといいなと思ったりする。大人は石を石としか見ないし、興味を示さない。そこがもったいない。

そのなんの変哲もない石で、なにか面白いことができないかなと考えるのが、人生を楽しむことに繋がることだと思う。といったわけで、ター坊を褒めちぎった。ちょっと引くぐらい褒めた。

それはありふれた物を見て楽しむ姿勢を褒めたのだけれど、どういうわけか、彼はわたしのことを「石が好きで好きでしかたがないヤツ」と認識したようで、わたしが来る日には石を用意してくれる。

会うなり「はい。石あげる」と石をくれる。

いや、そういうことじゃないんだけどなあ、と思う。家にはもうもらった石が10個ぐらいある。でも、わざわざくれるのだから、こちらも何かしないといけないと思い反応してしまう。

「ま、まさか、こ、この石はひょっとして‥‥」

「なになに?」

「いや、でも、この表面のザラザラ感は‥‥もしや、あの有名な!」

「なんなの?」

「‥‥ふつうの石」

などと言っては、ター坊をポカーンとさせている。

そういうわけで、家に10個以上の石がたまってしまった。なんだろうね、この石塚みたいなの。どうすりゃいいんだろ。

親に「テレビの上に石があるんだけど」と言われた。面倒なので「仕事で使うんだ」と言ったところ「あ、そう」と言われた。あれ?疑問もたないの?石を使う仕事ってなんだよとか、ならないの?

あ、ひょっとして嫌われてる?

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