玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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天使を呼ぶためにすべての歌がある

新宿駅東南口。人を待っている。

女の甲高い声がする。文庫の字を目で追っているが、ちっとも頭に入ってこない。隣にいたカップルが言い争いを始めていて、その声がしだいに大きくなっている。

女のほうが興奮している。

「わたしは空から堕ちてきた天使なんだからね」と男に詰め寄っている。

気を失いそうになった。腰を抜かしそうになった。

男は、女をなだめている。

「そうだよね。そうだよね。それはわかっているんだけど‥‥」

口ごもっている男は周囲の様子をしきりに気にしている。

しばらくすると路上ライブが始まり、天使と男は歌声に引き寄せられるように、観客の輪の一つになった。

「天使を呼ぶためにすべての歌がある」

そんな歌詞があったことを思い出した。

最近の天使は、ロバートの秋山に似ている。

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