▼昨日、あれほど蕎麦を打つと書いたが、結局蕎麦は打たなかった。
というのは、わたしの意志が例によって薄弱だったということではなく、親が外出の際に「昼は蕎麦を食べる」と言って出ていったからだ。
夕食に張り切って「さあ、手打ち蕎麦だ!」と出したところでちょっとどうなのかと思うので遠慮する。
しかし、わたしの蕎麦熱はまだ治まっていない。たとえ一度も打ったことがないとしても。
陸サーファーみたいである。
明日から4日以内に蕎麦は打たれるでしょう。
▼名誉市民 水木しげる展 【入場無料 22年3月22日まで 】
調布まで外出したので、水木しげる展へ。水木さんが調布市民となってから半世紀が過ぎ、名誉市民にされてしまったらしく展覧会がやっている。
もっと大々的に宣伝しているのかと思ったら、1階の端っこのほうでちょこんと開催している感じ。あれだと気づかない人もいるかもしれない。また、そこが水木しげるらしくていい。
展示自体は20分もあれば見終わるぐらい。
水木年表に記されているエピソードがいい。
3歳まで話せず周囲から心配されていたが、最初に話した言葉が「ネンコンババ(猫のフン)」だったとか、朝が苦手で起きられずいつも2時間目から登校していたとか、水木家のルールで「寝ている人を起こしてはいけない」というものが定められているとか、どうでもいいエピソード満載である。
わたしは、こういう話が大好きなので嬉しかった。
展示のメインなのかわからないが、水木しげるを取材した番組が流れていた。
ちょっと調布市の予算で作るには豪華だったので(失礼)、恐らくはNHKか何かで撮ったものを流してるんじゃないかと想像する。
なにせ、この番組が長い。1時間40分弱あるので、ちょっとした映画である。時間の都合上、全部観られなかったのが残念だ。
面白いのが、この番組を観ている人たちで、地元の人たちが観に来ているもんだから「あの石屋のせがれが‥‥」とか「あの場所はああだこうだ」なんていう会話がちらほら聞こえてくるところである。
そしてこの番組のゲストが荒俣宏、呉智英、南伸坊、京極夏彦。豪華すぎる。
この面子で座談会をするのだけれど、水木しげるがテーマについて話し出した30秒後には、もうテーマがなんだったのか忘れているのがいい。稀有な老人力を発揮されていた。
驚くべきことに座を回していたのは京極夏彦だった。よく喋るんだなあ、あの人。感心した。あのバイク乗りが使うような指先のない変な手袋は、まだ使っていたのか。それはいいか。
和服に、あの変な手袋。それはいいか。
あの変な手袋が京極夏彦の本体という噂があったな。どうでもいいか。
この座談会が、番組中に細切れに挿入されているのだけれど、あまりに短い。内容がマニアックすぎて、切られてしまったのかもしれない。
水木しげる展を見た後、調布の街をぶらっと。
ゲゲゲの鬼太郎に出てくるキャラが7体飾ってある天神通りを散策。 本当にこじんまりである。
誰も注目していない。そこがまたいい。
そして調布は牛丼チェーンとパチンコ屋が多い。そんな街、調布。
勝手に総括しない。