玉川上水日記

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幸田文 しつけ帖

▼今日の迷惑メール
「★婚活★ 2010年、今年こそ、婚活はじめませんか?」
はじめません。

幸田文 しつけ帖(幸田文 著、青木玉 編)

掃除や礼儀などを通して、父親であり作家である幸田露伴との対話、思い出が綴られている。明治時代の雰囲気、当時の価値観も興味深いが幸田文の叱られるとすぐにむくれるところ、露伴の勝手な言い草が良い。

幸田文のように頭の回転の良い人は、なかなか人にやり込められることはないと思う。それが露伴とのやりとりだとそうはいかない。幸田文の頑固かつ天邪鬼(あまのじゃく)、けれど、ときに素直な性格によって、露伴が叱った甲斐もあったのだと思わされる。やはり言葉というのは受け手の器量によって価値が増減する。その点、幸田文露伴にとって叱り甲斐のある標的だったのだろう。

幸田文は、ときに露伴の意見に真っ向から対立し抗おうとするけれど、露伴はそれを軽々と超え、荒々しい論理や屁理屈で否定してくる。自分の意見を認めてもらえるのは嬉しいことだけど、でもどこかでそれを強烈に否定してもらえるような圧倒的な知性にも憧れる。

幸田文露伴の叱責に反発しながらも、どこかで押し流され、負けたがっているように見える。そして、自分を負かしてくれるすてきな相手がいるということに、羨ましさを覚える。露伴への尊敬、身近な物への鋭い洞察が溢れたエッセイ集。文から露伴への思慕の念を込めた長い長い手紙とも受け取れた。

それにしても、幸田文とはなんてかわいらしい人でしょうか。

▼図書館へ。
8冊ほど借りる。偶然、藤原紀香が書いた「紀香魂」という本を見つけた。誰か、タイトルつけるときにとめてやれなかったのか。
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