玉川上水日記

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映画「悪の法則」

悪の法則
The Counselor / 2013年 / アメリカ、イギリス / 監督:リドリー・スコット / 犯罪、サスペンス


欲望の代償。
【あらすじ】
美人の婚約者との結婚前に、麻薬でひと山あててでっかく稼ごう!悪いことを企んだら、とんでもない目に遭いましたよ‥‥。


【感想】
左からマイケル・ファスベンダー、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデム、ブラッド・ピット。おおお、なんという豪華キャスト。みんな有名な人だー!という小学生並みの感想。頭のいい小学生なら言わないだろう。わたしは言う。

しかし、この映画にはたまげました。映画を観て具合がわるくなったのは久しぶりである。

「カウンセラー」と呼ばれる弁護士(左、マイケル・ファスベンダー)は美人婚約者(ペネロペ・クルス)との結婚前に、財産をつくって贅沢をしてやろうと麻薬取引に手を出します。ライナー(右、ハビエル・バルデム)はレストランやクラブ経営で成功している実業家。カウンセラーに麻薬ビジネスを紹介する。しかし、その服はどこで売ってるのだ。

ライナーと一緒に豪邸に住んでいるマルキナ(左、キャメロン・ディアス)。この映画のキャメロン・ディアスはすごかったですね。今までの役とはまったく違う変身ぶりです。マルキナという女性は善悪でははかれなくて、欲望のとおりに行動する動物なのだと思う。マルキナはヒョウに憧れているし、ヒョウ柄のタトゥーを背中に入れているのは、そういう意味ではないかしら。

マルキナは本当にぶっ飛んでいる。「車とセックスしたい」と言い出した時は「は?」ってなりました。「車で」ではなく「車と」である。あまりに珍しい場面なので、携帯電話でその場面を撮影してしまった。何をやっているのか、わたしは。

右はカウンセラーの婚約者(ペネロペ・クルス)。この映画に出てくる人の中では、唯一まっとうな人かもしれない。まっとうな人だったのにねえ‥‥。

麻薬ビジネスのブローカーであるウェストリー(左、ブラッド・ピット)。ブラッド・ピットは苦しそうな演技をするときに、こめかみの血管が浮き出るのですが、今回もえらいことになっております。そりゃ、血管も出ますって、あんなふうになったら‥‥。

とてもシンプルなストーリーである。麻薬取引のアルバイトみたいなことをしようとしたカウンセラーですが、トラブルが起きて失敗。麻薬が誰かに持ち逃げされてしまう。その言い訳をメキシコの麻薬マフィアにするのですが、まったく聞いてくれないんですね。登場人物たちが一様に「もう終わりだ‥‥。逃げよ‥‥」ってな具合になります。ひたすら追い掛け回されるという。

メキシコのマフィアがどういったことをしているかは検索すればすぐに出てきます。殺害方法がとにかくすさまじい。殺すか殺さないかではなく、より残虐な殺し方は何かを探しているような。この映画には残虐な場面も出るには出ますが、ブラッド・ピットやハビエル・バルデムが話すマフィアの残酷話が怖すぎる。映像化は問題があるから、登場人物から語らせるのかもしれない。

ある人間を残虐に殺して、それを撮影したCDを被害者の身内に送りつける場面が怖い。CDの表面にはマジックで「HOLA!(やあ!)」と書いてある。やあ!じゃないわ。それは冗談として成立してないじゃんかあ!犯人が狂っているならともかく、まったく普通なんですね。普通でありながら、こんなことができる悪意の強さにあてられて気分が悪くなってしまった。

主人公がマフィアのボスに詫びを入れる場面がある。そのときにボスは、主人公が「選択を間違えた」と優しく諭すんですね。主人公が今いる場所は選択が行われた後の場所であり、おまえはもっと以前に正しい選択をすべきだったと。主人公がどんなに謝ろうと、優しく優しく諭すのである。でも殺すってね。こわーい!

ここでボスが主人公に懇々と説明する理由はないはずである。もう殺すんだし。これは観客に向けられたものなのだろう。そもそも主人公は名前がなく「カウンセラー」というあだ名しかない。このカウンセラーが、わたしたち自身なのだという。

もし仮に麻薬をやってみたくなったら、この映画を観たほうがいいかもしれません。麻薬をやるということは、こういった人間にお金を渡すという意味である。とにかく恐ろしい映画である。セリフは哲学的で興味深い。映画は面白かったのですが、後味はかなり悪いのでお薦めするかは難しい。残酷な場面も、どんとこーい!って方ならば。


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