玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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新年会2

▼今年は忘年会と新年会がやたらと多かった。忘年会が多かったのだから新年会はもういらないんじゃないかと思うけど、そういうことではないらしい。新年会は新年会で開催された。

酔っ払いは理由をつけて飲みたがる。いっそ理由なく飲んだほうが潔いのではないか。年末年始や花見にかこつけて飲むというのは言い訳がましい。どうせなら「酒が好きで好きでしかたがない。酒がきれると手が震える。なんなら点滴して直接アルコールを注入したい!」ぐらい言ってほしい。完全にアル中です。

▼で、久しぶりに中学時代の友人と集まったら酒癖が悪くて困った。酒癖というのは歳をおうごとに悪くなるのかしら。友人Nは、酔うとしきりに店員に絡む。そういうのを見ていると嫌な気分になる。

Nの言い分は、居酒屋は酒を出しているのだから店員は酔った客に絡まれるぐらい仕方ない。それも料金のうちだという。わたしはそうは思わない。Nの考えとわたしの考えはどこまで行っても平行線で交わらないし、それについてグチャグチャ言うのも面倒である。

こういうときは「言ってることはわかるけど、あんまり店員に迷惑かけないようにね」と、なあなあで済ましたりするものだった。だが今年は違った。「Nの考えはよくわかった。それについて否定する気はないし、悪いと思っていないのだから直す必要もない。ただ、俺はもう一生おまえと飲むことはない」と言ったのでした。まあ、場の雰囲気が凍りついたこと、凍りついたこと。すべてわたしが悪い。

歳をとって温厚になるかと思いきや、ド短気になっている。あれかなー、先が短いから歳をとると短気になるのかしら。中学生ならそれでもいいんだけどなあ。37歳だ。いったい、いつまともな人間になれるのか。

▼Nとは、あっさり和解した。酔ってないときは理性的な人である。そんなNは、今週コンパに行くという。今までコンパを断り続けてきたNだったので、急にどうしたのだろうと驚いた。彼女がほしくなったとか、そういう当たり前の動機かと思ったら、ちょっと違った。

「俺だって女の子とふつうに話せるんだ、コンパという場でも場違いじゃない振る舞いができるんだっていう、そのことを自分自身に証明するためにコンパに行ってくる。それができたら、今後の人生も自信を持って生きていける気がする」

重いわー。電話番号聞いちゃおうとか、口説いちゃおうとか、あわよくばその日のうちに‥‥、などではない。人生とか言い出しているのが恐ろしい。でも、同じモテない村出身者としてNの気持ちはわかる。ゆけゆけ、友人N。骨はわたしが拾ってやる。まるで出征兵士を見送る家族の心境。

Nの話、他の友人にしたいなあと思ったが、さすがに悪いのでやめておいた。だが、ネットで世界に発信しました。匿名だし、いいじゃんか!なあ!ドンマイ!
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