玉川上水日記

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映画「ルーパー」

ルーパー
Looper / 2012年 / アメリカ、中国 / 監督:ライアン・ジョンソン / SF


30年後の自分は他人
【あらすじ】
「うーん、どうもあいつとは意見が合わんなあ‥‥」って、30年後の自分かーい!

【感想】

ジョゼフ・ゴードン=レヴィットという役者は、面白い脚本を引き当てる才能があるのか、いい映画ばかりに出ているような気がする。あとはライアン・ゴズリングとかね。逆に変な脚本ばかり引く人もいる。この引きの良さが役者にとって重要なのだろうなあ。

あまりネタバレしないように書きます。舞台は2044年のアメリカ、カンザス州。ジョー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)は、未来の犯罪組織からの依頼でタイムトラベルしてくる標的を処理する殺し屋をやっていた。

「まだかなー、まだかなー」と標的が送られてくる時間を確認するジョー。すると、ご覧のように、袋をかぶせられ腕を縛られた標的がタイムトラベルしてきます。現れた瞬間に、流れ作業的に銃で撃つという、誰にでもできる簡単なお仕事。初心者歓迎。

未来の世界では人が死ぬとすぐわかる仕組みになっている。そのため犯罪組織がタイムトラベルを悪用し、過去の世界に殺したい人間を送り込み、過去の世界の殺し屋に始末してもらう。ジョーは、殺しを請け負って豊かな生活を送っていた。その日もいつものように標的を処理しようとしていた。だが、そこに現れたのは30年後の自分だった。

30年後の自分であるジョー(ブルース・ウィリス)。うーん、この二人、見れば見るほど似ていない。なんとか髪型を似せようと工夫している感じはあるものの、まあ似てないねえ。「え?30年後の俺って、こんなにハゲるの?」と現在の自分が驚くギャグを入れればよかったのに。そういうのお約束じゃんかあ!ブルースが偉すぎて、できなかったのかしら‥‥。

あと、銃を持ったブルース・ウィリスはダイ・ハードのジョン・マクレーン刑事に見えるよ‥‥。これはもう仕方のない話。

この映画で面白かったのは30年後から来た自分と共闘するわけではないんですよね。30年後の自分て、現在の自分も経験して30年間過ごしてきているわけだから、いろんなことを知っているし正しいように感じる。でもそうじゃない。

30年後の自分は、現在の自分とはもはや他人である。わかりあえそうで、わかりあえない。こういうものかもしれない。現在のジョーにとって、30年後はどうでもいいので、30年後のジョーを平気で殺そうとする。過去と未来のジョーの利害が対立する。

二人のジョーが食堂で話し合う場面も面白かった。タイムトラベルについて過去のジョー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)から訊かれた未来のジョー(ブルース・ウィリス)が怒り出す。「そんなことはどうだっていいんだ!タイムトラベルのことなんて話したくない!」って、まあキレる。これにより、一切の質問が拒否されてしまう。なにこの強引さ。監督の防衛なのだろうか。細かい矛盾とか、うるさいこと指摘するなよという。そこにちょっと笑ってしまった。

話の鍵になる超能力についての説明が少なすぎるという不満はあるものの、好きな話でした。未来の自分にメッセージを伝えるために、過去の自分が腕を傷つけるというアイディアも良かったですね。そうすると、未来の自分の腕にメッセージが浮き上がってくる。意外にホロッとさせられる場面もある。SF好きには特にお薦めです。

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