玉川上水日記

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映画「ファミリー・ツリー」

ファミリー・ツリー
The Descendants / 2011年 / アメリカ / 監督:アレクサンダー・ペイン / ドラマ


ジョージ・クルーニーがたいへん困ります。
【あらすじ】
妻の事故によって二人の娘と向かい合うことになったマット。今まで家族をほったらかしにしといたから、娘とどう接してよいかわかりません。

【感想】
原題の「The Descendants」は「子孫」という意味ですが、邦題のファミリー・ツリー(家系)というタイトルのほうがわかりやすくていい。ディセンダンツという単語は馴染みが薄い。ツリーという単語は、幹(先祖)から枝(自分)まで連綿と続く生命の流れを感じ取れていいですね。

緑と水色が多いハワイのゆったりとした風景。こののどかな風景が、不倫や家庭内のゴタゴタという問題を緩和してくれるようでした。主人公たちが陥る状態は深刻ですが、重苦しい雰囲気にならずコミカルでさえある。

弁護士として忙しく働いていたマット・キング(ジョージ・クルーニー)。彼が何も知らない間に家庭は崩壊しかかっていた。妻がボートの事故で半身不随となり、娘たちと向き合うことになる。実は妻は不倫をしており、長女は麻薬をやったり変な男と付き合ったり、真面目に授業を受けている様子もない。次女も妻が事故に遭ったせいか、不安定で行動がおかしい。ジョージ・クルーニーは盛大に困ります。

わたしは、おっさんが盛大に困っている姿がとても好きなので、この映画は良かったですね。ツタヤなどのジャンル分けで「恋愛」「アクション」「困り顔」があったら、困り顔の棚は全部借りる。人が困っているところが大好きだよ!

まともなのは仕事熱心な自分だけで、妻は不倫するし、娘は二人ともワガママでバカだし、おまけに長女のボーイフレンドはオリンピック級のバカだし、とプンプンのクルーニーであった。バカばっかりじゃんかあ!と、キレかかりますがそこは大人。わ、わしが我慢しなければとプルプルしておる。

最初こそ怒り狂っていたクルーニーですが、次第に家族をないがしろにしてきた自分に気づく。なぜ家族がバラバラになったか、その原因の一端が自分にあったことにも。バカだ、バカだとバカにしてきた長女のボーイフレンドも、実はそんなに悪いヤツではないことに気づく。でも、気がいいバカということで、バカは脱していない。

長女のボーイフレンドが家族の喪失に苦しんでいたり、妻の父親が自分にひどい言葉を浴びせつつも、やはり娘を愛して苦しんでいたりと、人間の多面性がよく描かれていました。

お金を上げて贅沢な暮らしをさせることより、時間をともに過ごすというのが家族としてもっとも重要だという当たり前のことを思い出させてくれます。結局、クルーニーは妻と娘がキャンプをして過ごしたという土地を売らず、お金を手にすることをあきらめる。先祖から受け継がれてきた土地を手放さなかった。

クルーニーと娘たちがソファーでテレビを観る場面がとても良かった。一言も会話はないのですが、当たり前に毛布を共有してアイスを食べている。わたしの中で、ジョージ・クルーニー再評価ブームが来ておりますよ。


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