玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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国民栄誉賞 アニメ「サイコパス」

▼長嶋さん、松井さんに国民栄誉賞を送る方針というニュースを見る。野球ファンにとって特別な人たちというのは言うまでもないが、松井さんについては一つ記憶に残っている話がある。

松井さんが中学二年の頃、夕飯の食卓で友人の悪口を言ったところ、父親から「人の悪口を言うような下品なことをするんじゃない。今、ここで二度と人の悪口を言わないと約束しなさい」と言われ、それから人の悪口を言っていないという。

ふつうの人ならば、その場は適当に謝っておいて父親がいないところでは言うでしょう。あなた方はそうでしょう。むしろ父親の悪口を言うし、呼吸をするように悪口を言うでしょうよ!そこまではひどくない。

松井さんは実に立派である。わたしは松井さんが言えなかった分の悪口も、松井さんに代わって言っていこうと決意しました。

サイコパスというアニメを観ましてね。ずいぶん長い話(30分×22話)なものだから、感想を書いたのだけど原稿用紙10枚ぐらいになってしまって、誰がいったいこんなものを読むのかと思ったら、バカバカしくなって消してしまった。短めに書こう。

近未来SFという設定だけど、内容はオーソドックスな刑事物です。連続殺人犯を追っかけていきます。制作は「攻殻機動隊 SAC」のProduction I.Gがやっているから、世界観や生活習慣、出てくる小物などを観ているだけで楽しめます。

カリスマ性のある連続殺人犯が出てくるのだけど、やはり悪役というのは難しい。ギリギリ、カリスマ性を失わずに最終話を迎えられたように思う。頭が良かったら、ふつうは悪人にならない。社会の中で適合して、きちんと居場所を見つけ、善人として振る舞って周囲から認められて生きていくほうが楽しいからだ。

悪人が悪人たりうる動機を満たし、また優秀な人間であるというのを視聴者にわからせるというのは本当に難しいんだなと思いました。今回の犯人役はパスカルやマックス・ウェーバーの言葉を引用することで優秀さを出そうとしていた。引用というのは、突き詰めていくと秀才がやることなのではないか。

パスカルの言うことを理解してるし、知識の広さがあるということなのだろうけど、でも、それはネットで「パスカル 名言」とやれば出てくるだけの話だ。ジョジョの奇妙な冒険だとディオ、北斗の拳ならラオウという名悪役がいるが、あの悪役を名悪役たらしめているのは借り物ではないオリジナルの言葉があるからだと思う。そこに魅力を感じる。借り物がオリジナルに勝ることはない。

今回の犯人(序盤で明らかにされるので問題はないと思う)の槙島は引用は多いのだけど、それだけではない。「人間は自らの意志で選択・行動するからこそ価値があり、魂を輝かせることができる」と言っている。これは名言ではないかもしれないが、いい言葉だった。

どうしてもジャンルが似通っているので攻殻機動隊 SACと比較してしまいますね。もうあれは10年以上前の作品なんだよなあ。サイコパスも良かったのだけど、いまだに同ジャンルで、あれを越える作品が出ていないような気がする。