玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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マークX

マークXという車のCMを観るたび、なんとも落ち着かない気分になっていた。

素直に解釈するならば、父娘の仲が良くて、失恋についても相談できる頼り甲斐のあるかっこいい父親。そんな父親が乗る車がマークXです!どうだ!ということなのだろう。

まあ、そうなんだろうけどさあ。なにせ父親が佐藤浩市だしねえ。そりゃ娘はなんでも相談するし、そこらへんの男より浩市のほうがいいわー!というのが大部分の娘の意見ではないか。だが、それは佐藤浩市だからである。大部分のお父さんは娘から見ると、えびすよしかずである。えびすさんなのです。「お父さんとは洗濯物、別にして!腐るから」でおなじみの。おなじみかどうか知らんけど。

このCMは当たり前だけど現実ではなくて、父親の願望にすぎない。その願望というのが、娘の一人立ちを願いながらも(実は願ってないし、願ってないことに気づいてないことも)、男に振られて戻ってきたときには優しく受けとめてやる父親。娘から「パパが一番」と言われたい父親。娘と友だちのような、兄のような関係。恋愛について父親に相談する娘は未熟かもしれないが、実は一人立ちできてないのは父親のほうではないか。

「きーもちーわるー!」と言ったところ「俺の車から降りろ」と言われました。知人のマークXから。え、ここから歩いて帰るんですか。それはちょっと。娘となんでも話しあえる関係って最高じゃん!ねえ!わたしもマークXに乗りたいよ!だから家まで送ってください、えびすパパ。

これはわたしが歪んでるだけなのだ。素直にとれば、マークXかっこいい!浩市かっこいい!マークXに乗ってる俺かっこいい!であるし、それは正しい。ただ、わたしにとってマークXの宣伝は、観ると寿命が縮むやつが多い。マークXユーザーの方はわたしを見かけたら轢いていいと思います。