玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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心温まる話

▼仕事上の問題が解けなくて悩んでいる。正確には、問題が何かわかっていないのが問題だ。解けないにもいろんなレベルがあると思うんですよね。今回は重症なやつである。 当たり前のことなんですけど、問題を解くには問題が何なのか知らなければならないわけで、その問題がねえ、わからないんだよなあ。問題がわかればあとは解くだけなのである。今は問題の輪郭すら把握しかねている。そんなの簡単じゃんか、と思うかもしれませんが、具体的な話にしてみると意外と解決が難しい。 たとえば「テレビの視聴率が悪い」という状況があるとして、その問題がどこにあるか絞りきれない。番組が面白くないのか、携帯やPCのほうが楽しいのか、飽きられているのか、youtubeで観ているのか、生活習慣が変わって時間がないのか、なんとなくはっきりしない。問題が不鮮明なので解決することができない。というようなことがですね、ちょっと仕事上に起きている。問題が明確にわかれば解けたも同然である。 ▼今年は花粉症がひどい。カシミアのティッシュというのを買ってみたが、あれは良くない。お鼻がしっとりする。とても甘やかされている感じがして人間が駄目になりそうだ。もう駄目ですけど。手遅れですけど。わたしのような人間は精神修養のために、わら半紙で鼻をかんだほうがいいと思うのです。カシミアのティッシュは人にあげた。そういうわけで、今は鼻が赤い。 ▼花粉症だし、問題解決はしないし、気分をかえるために少し心温まる話を。 小学校四年の頃、Tという仲の良い友人がいた。当時、わたしは団地の五階に住んでまして、その日はわたしの家でゲームをやってました。Tがトイレに行ったとき、ふとTを驚かしてやろうと思いたった。 今考えるとなんでそんなことをしたのかわからない。団地の窓には転落防止のために手すりがついている。その手すりを乗り越えて、下の階のひさしの上に立った。部屋の中から見ると、わたしの上半身しか見えず、三階のひさしの上にたっているのはわからない。手の力だけで手すりにつかまっているように見える。 Tがトイレから戻ってきたとき「助けてー!」と、落ちそうな演技をした。驚いたTは、わたしを助けに来てくれるかと思いきや、一目散に逃げ出したのである。わたしが落ちたら親に怒られるとか、引き上げられそうもないとか、瞬時に考えたのだろう。Tは階段を駆け下りるとき、踊り場からこちらを見た。わたしがひさしの上に立っているのを見て、ようやく事態が飲み込めたようで、きまり悪そうに戻ってきた。 わたしもまさかTが逃げ出すとは思っておらず、それからはなんだかギクシャクしてしまった。二人の間に、はっきりと深い溝ができてしまった。その溝は二十年以上過ぎた今でも埋まらず、まだどこかお互いにモヤモヤしたものを抱えている。あの日のことは話題にすることもない。さあ、心が温まったでしょう。 はい、終わり終わり。もう、みんな寝ろ寝ろ。わたしも寝ます。「なんで人を試すようなことをしたんだろー」って、泣きながら寝たあの晩を思い出して寝ます。みんなもモヤモヤすればいいじゃないか!

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