玉川上水日記

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映画「リミットレス」

リミットレス
2011年 / アメリカ / 監督:ニール・バーガー / SF、サスペンス


IQ4桁の凡人
【あらすじ】
仕事もまったく手につかずスランプに陥っていた小説家エディ・モーラ(ブラッドリー・クーパー)。ある日、離婚した妻の弟に偶然出会う。彼から「NZT-48」という謎のドラッグをもらう。その錠剤を呑んだら‥‥、天才ちゃんになっちゃった!

【感想】ネタばれしてません。
人間はふだん脳の20~30%しか使ってないという話はよく聞きますが、このNZT-48という薬を呑めば脳をフルに使え、観察力や理解力が強くなります。外国語やピアノをすぐにマスターしたり、株で大もうけもできる。相手の動きがゆっくり見えるのか、ケンカにも強くなるよ。不思議!

あと吐き気が起きたり、病気になったり、死んだりするから気をつけてな!
こちらが使用前のエディさん。なんだかちょっとくすんだというか、冴えない感じなのだ。

髪が中途半端に長かったり衣装がボロボロだったりというのもあるけど、使用後と比べるとまったく印象が違う。うーん、馬子にも衣装というか、やっぱ人間、クスリやらないと駄目だな!

こちらはNZTー48を呑むようになってからのエディさん。パリッとしとります。それにしてもロバート・デ・ニーロも歳をとったよねえ。すっかり白髪である。今回は金融業の大物という役ですが、何をやってもマフィアに見える。でもあまり暴れないですね。エディさんを脅して「こ、これは殺されるで‥‥」ぐらいびびらせてほしかった。

で、冴えない小説家だったエディは頭が良くなったので投資関係に手を出し、お金を手に入れて注目を集めていきます。ああ、あなたにとって小説とはなんだったのか、と思いますがどうもこの人はお金が手に入ればなんでもいいようなのだ。素直だな。

人並みはずれた能力があるなら、ふつうの人であれば、最先端の研究に情熱を注ぐ、歴史に残る作品を作る、あるいは人の役に立つことを、などと考えてしまいそうである。そういうのがまったくない!ステキ!

金と女は手に入れたから、次は権力だな!と政治家に立候補する。この俗物っぷりが清々しい。欲望に対してとても純粋で葛藤や苦悩はない。最近のアメコミのヒーローのほうがよっぽど苦悩している。たまに「すごく気持ち悪いけど、死んだらどうしよ」とか思うぐらい。

IQは高くても凡人はどこまでいっても凡人ということだろうか。設定は面白いのですが、一つ不満があるとすればIQ4桁という能力がまったく発揮されていないことだ。「独学ですぐに外国語をマスターした」とか「株の値上がりを予測した」ということで頭の良さをアピールするシーンはあるのだけど、映画内で困難に陥って、こちらもうなるような、それこそ「さすがIQ4桁!」という脱出のしかたをすることはない。

ケンカはやたら強くなったりするけど。まあ、そのねえ、頭脳方向で、あっと言わせてほしかったのですよ‥‥。薬を呑んだとき、周りがクリアに見える視覚効果とか、そういうのは面白かったです。主人公が何も考えないので気楽に観られます。もっといろいろ考えて!


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