玉川上水日記

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映画「リミット」

リミット
2010年 / スペイン / 監督:ロドリゴ・コルテス / スリラー


超ひきこもり映画
【あらすじ】
起きたら木箱の中に閉じ込められてたよ。パソコンもポテチも漫画もないし、あれー、死んじゃうのかなあ、あれー?という。

【感想】一部ネタばれしてます。(オチは書いてません)
この前は「雪山でリフトに置き去りにされました。ヘルプ!」という映画を観ましたけど、またまたシチュエーションスリラーというやつです。今度は「箱に閉じ込められました。ヘルプ!」という。同じようですがこちらのほうがいろいろ同情はできます。

イラクで民間会社のトラックドライバーとして働いていたポール(ライアン・レイノルズ)は襲撃を受けて埋められます。気づいたら箱の中でライターと携帯電話ぐらいしかない。

電話する→担当に繋ぐから待ってろ→あんまり役に立たないのでキレる、を繰り返す映画である。もうねえ、本当に気分が悪くなるんですよねえ。箱の中の狭苦しさ、減っていく酸素、電話でのたらい回し、犯人が電話で無茶を言う、希望がない。閉所恐怖症の人は観ない方がいいと思います。ずっと箱の中なので。

主人公もパニック状態とはいえ、あまり人間ができているほうではない。妻のところに電話して繋がらず、妻の友人らしき女性のところに電話して、国務省の電話番号を調べろと言う。その口調も「早く調べろよ、この野郎!」ぐらいの勢いなので電話を切られてしまう。もう一回繋いで「どなって悪かったねー、さっきのは嘘だよー。お願いだから調べてよー。こっちは埋められて死にそうなのー」と頼み、相手が番号を教えてくれたとたん「ありがとうよ!ファック!」と言って電話を切る人格者っぷり。なかなかのロクデナシ。ここは笑った。

襲撃して主人公を埋めた犯人は、どうやら生活に困ったイラク人のようなのだ。で、この主人公はアメリカから出稼ぎに来ている労働者で貯金は700ドル(大雑把に1ドル100円で計算しても7万円)しかない。犯人と被害者が、ともに家族があって生活の困窮に喘ぐ似た立場である。そこを強調した反戦映画なのかなと思ったが反戦メッセージとしては少し薄いような気もするんですよね。そこまでのメッセージ性は感じなかった。

ただ箱の中に閉じ込められて犯人に無茶を言われるという。で、たらい回しされて「ファック!」とか怒る。まあねえ、不条理さにそう言いたくもなりますけど。爽快感のかけらもない終わり方に沈んだ気分でスタッフロールを眺めていると、能天気なウクレレっぽい曲がかかりズコー!ってなる。今までの緊迫感は何?ってなる。そこがもっとも不思議な映画。


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