玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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サンタ

▼友人夫婦の家にお邪魔。友人夫婦の子ハナちゃん(小学校5年)と話す。何がショックってハナちゃんが5年生になっていたことだ。もうすぐ中学ではないか、中学三年なんてすぐすぎるし、それから高校でしょ。そしたら就職?大学?とにかくすぐ成人である。

そのとき、おじさんはおじさんは‥‥、もうおじいさんではないかー!

はい、この話おわりおわり。自殺者が出る。誰も得しないわ。

そんなハナちゃんはこの時期になるとしつこく「なんで大人ってわざわざサンタがいるフリをするの?」と訊いてくるという。大人びている。いないことが前提になっている。友人(父サンタ)はなんとかハナちゃんに再びサンタを信じてもらいたいらしい。夢、見すぎだろう。小5なんだし。

大人びたハナちゃんを説得できるサンタの話を考えてくれないかという。たしかにタダでプレゼントを配りまくり、セキュリティを突破する空飛ぶ老人というのは無茶である。そんなものいるわけがない。

しかし今は無料のサービスも増えている。検索エンジンwebメールSNSはどれも無料だ。なにかこちらでは想像できない方法でサンタも資金を回収しているのかもしれない。おもちゃメーカーの宣伝、国の老人雇用政策という説明はどうだ。子どもには少し難しいかもしれない。

もう少し子どもが興味を持つ説明はないだろうか。サンタというのは個人ではなく組織だ。これは大富豪だけで構成される秘密クラブである。彼らはとても変わった性癖を持っていて、幼い子どもの靴下に物を入れることで性的快感をおぼえるというド変態である。貧しい家にプレゼントをあげることを料金として、彼らはそのプレイを楽しんでいるのだ。

とても小5には言えない説明だ。なによりこれを言ったら父サンタにぶっ飛ばされる。ハナちゃんにサンタを信じさせることはあきらめた。かわりに、なぜハナちゃんのお父さんが過剰なまでにサンタの存在を押し付けてくるか、ハナちゃんの疑問に答えた。

「子どもが成長して自分のコントロールできないところに行ってしまう無意識のおそれ。子どもには子どものままでいてほしいという無理な願望。社会に出れば厳しいから、せめて子どもにだけはメルヘンな夢を持っていてほしいという押し付けのどれか」と伝えた。

ハナちゃんはもう大きいのだから、そんな大人に付き合ってあげてもいいんじゃないか。ハナちゃんは、わたしの返事に「直球だね‥‥」と驚いていた。子どもが驚くような直球をどんどん投げ込んでいきます。顔面に。

父サンタからは「夢のないこと言うな」と怒られた。その父の肩に手をおき、まあまあとなだめるハナちゃんがずいぶんまぶしく見えた。

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