奇人たちの晩餐会
1998年 / フランス / 監督:フランシス・ヴェベール / コメディ
【あらすじ】
みんなでバカを連れてきて、どのバカが一番すごいか決めて笑おうぜ!
【感想】ネタばれしてません。
フランスのコメディというのはほとんど観たことがありませんでした。どうも敷居が高い感じがした。皮肉めいて、ちょっと意地悪な笑いなのではないかと思っていた。実際はそんなことはなくてコテコテでした。
毎週水曜にお金持ちの皆さんが集まって晩餐会を開きます。そこで参加者たちが連れてきたバカなヤツを比べて、どのバカが一番か決めよう(本人たちには内緒)という話。どんだけ性格悪いんだ。ツイッターなら即炎上のパターン。勤務先もばれて電話攻撃がやみません。で、この性格の悪い金持ちが右側のピエール(ティエリー・レルミット)。
そして、そんなピエールに「あんた、すごいね!是非、晩餐会に来て!来週も来て!」と、次の週まで予約を入れられてしまうほどのバカに認定されたピニョンさん(ジャック・ヴィルレ 写真左)。この人、本当にいいキャラをしている。物事を悪いほう悪いほうに進ませる天才。
ピニョンさんの「俺に任せてくれれば絶対大丈夫!」の図。
絶対悪いほうに行くんです。天才ですから。確率は100%。ここまでいくと頼んだほうが悪いと言わざるを得ない。悪い予感しかしないよ。
ピニョンを晩餐会に連れて行くことを考えていたピエールだったが、ギックリ腰になって行けなくなってしまう。そして彼の妻は「バカを集めた晩餐会」という醜悪な催しが嫌で、家を出て行ってしまう。
そこにピニョンが居合わせて「いろいろ任せとけ!」とがんばってくれるのだが‥‥。あんた、わざと最悪の展開に持っていこうとしてないかという厄病神っぷり。バカのホームラン王の実力を発揮。打率が高すぎる。
しかし、この人、愛らしいんですよね。写真じゃそう見えないかもしれませんが。テカテカの脂とともににじみ出る愛敬がステキ!
ピニョンはたしかにバカかもしれないけど、いい人なのである。このいい人に最後はホロッとさせられる。頭が良くて嫌なやつとバカでいいやつだったら、バカのほうがいいわい!となります。人を見下す醜悪さ、そして見下されていた人が持つ優しさに触れたとき、本当のバカがわかります。いい話でした。愛すべきバカ、ピニョンさんの活躍を見逃すな!
「奇人たちの晩餐会」という邦題もいいですね。