玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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web拍手 日本シリーズが放送されなかった日

▼大根(だいこ)引き 大根で道を 教へけり(一茶)

畑で大根を引き抜いている人に道を聞いたら、今抜いたばかりの大根で道を指し示してくれたという句です。 農家の人が「ほれ、それならあっちだべ」と大根で指している情景が浮かびます。

なんの脈絡もなく俳句で始まるという。そんな日があってもいいじゃないか。

JUGEMにもついにweb拍手のような機能が実装されました。{love clap}タグをソース中に書くだけなので設置は簡単です。

しかし、拍手アイコンにマウスを乗せると「愛を送る」だか「愛をつける」だかのメッセージ(altメッセージ)が表示されてしまい、ゾワーっとなってやめた。背中がかゆくなった。なんか変なことが許せなくなる。年である。ソース書き換えようにも、モジュール化されて改変不可である。

なので、よそのweb拍手サービスを登録した。

しかし、だんだん頑固になるなあ。あと10年ぐらいしたら誰とも口をきかなくなっている気がする。もしくは、誰にも口をきいてもらえなくなっている。誰か話しかけてください。

日本シリーズの1,2,5戦の地上波中継がないというニュースを見た。

そうか、ないのか。ないのだろうなあ。ケーブルか衛星で観るからいいんだけども。

野球人気の凋落というのはここ数年言われていたのだけれど、野球が面白くなくなったのか、野球より面白いものがたくさんでてきたのか、どっちなのだろう。両方だろうか。

野球より面白いものって、特に気軽に楽しめるようなものってたくさんある気がする。野球ってのは、これプロレスもそうなんだけど、ストーリーがけっこう重要な気がする。

ある程度の期間、見続けてないと意味がわかんないというか。

今回、リーグ優勝したのは中日なんですが、そのCSの巨人戦で野本選手が代打で同点ホームランを打つシーンがありました。この一試合を観ただけの人は「誰かわからんけど、なんか打ちよった」ということだと思います。

野本選手は、一年間起用され続けてきたにもかかわらず、残念なことにほとんど打てなかったんですね。わたしはテレビを観てましたが、野本選手には申し訳ないですが、正直なところ「そこで野本を使うのかー」となったわけです。ところが打ってしまうという、ごめんなさいというか、この日のためにあなたはいたのですね!と、すぐ掌を返すどうしようもないファンである。

1年間観続けて、その中であの試合の野本選手の活躍という長い話だったわけである。

今回、中日は日本シリーズに挑んでますが、それはファンからすれば特別でして、2007年の日本一は、リーグ2位通過でCSで1位の巨人に勝っての日本一ということで本当の日本一というわけではないように思う。今回はリーグ1位で通過し、そこで勝ってこそ完全優勝であり真の日本一である。

中日はもう長いこと完全優勝をしていない。

それは、1954年、名古屋ドラゴンズから中日ドラゴンズに改名した年、天知監督の下で日本一になってから実に半世紀以上ぶりのことなのである。わたしが生まれるずっと前の話である。その挑戦の機会がようやく訪れたわけである。

このように、野球はストーリーが重要なわけなのだ。が、ストーリーがいるものってのは、そのストーリーを理解するために多少の期間がいる。

youtubeや、他のテレビ番組のようにストーリーがいらない手軽なものに勝てないのではないか。

それに父親の権威の低下が影響しているように思う。昔いた「巨人戦オヤジ」みたいなのは絶滅したのかもしれない。友人の父親がそうだったが、テレビで野球がやっていたら他の番組は一切観られず野球しか観ない。巨人が負けると機嫌が悪くなりテレビを消してしまい、家族にテレビを観せないという。子どもや妻にチャンネル権など与えないミニ独裁者である。

困った人ではあるものの、やむなく巨人戦を観ているうちに自分も巨人ファンになってしまう仕組みである。今、父親は残業で遅いか、共働きで権威が低下しているか、なんだかもうこういう人がいないような気がするなあ。子どもにチャンネル権ありそうだし。

我々が、街頭テレビで力道山とシャーク兄弟の対決に目を輝かせていたプロレス。まあ、当然生まれてないので、見てきたように言っちゃいますが。

そのプロレスもケーブルや深夜に追いやられてしまった。野球も同じ命運をたどるのかもしれない。

やがては落語や歌舞伎のように伝統芸能になってしまうのだろうか。

「宮本のグラブさばきは、名人芸だねえ」なんて今でも言うが、そういう褒め方にはそっちへ行ってしまいそうな要素がありそうで怖い。

野球に限らず映画でも本でも、特に人なんかそうですが、ちょっとわかりづらいほうが面白いんじゃないかと思います。その理解できるかどうかわかんないものを我慢して見続けるってことが、意外とね大事じゃないのかと。あたしのような棺おけに片足突っ込んだジイ様から、若い方にね、ちょっと聞いていただきたいなと思ったしだいです。