▼化物語(アニメ)
「喰霊-零-」(がれいぜろ)「夏目友人帳」と観てから「化物語」。
いずれも妖怪のようなものが出てくる。化物語は、妖怪と似たようなものを「怪異」と表現している。ただし、怪異はそれ自体で存在するのではなく、人の中に憎しみやストレスなどさまざまなマイナスの感情がある場合、その悪感情を怪異が媒介して発現するものらしい。
つまり、そもそもの原因は人の中にあり、火のないところに煙は立たずシステムが採用されている。そういった怪異にまつわる出来事を解決していくお話。
そんなこんなでアニメ業界は、妖怪ブームなのだろうか。
先にあげた「喰霊-零-」「夏目友人帳」は、とても良くできていたし面白かった。
良くできすぎていると言ってもいい。だが、安定しすぎているというか‥‥贅沢言い過ぎである。
「化物語」は面白かったかといえば、一話を観終えた感想は「なんだか今ひとつよくわからんけど、面白いんじゃないか」という印象だった。新しい物に出会ったときによくある、ちょっと受け容れがたいけどどうしようかなという、そんな感じである。
ただ、久しぶりに価値観の淵というか、その辺をうろちょろしてくれる作品のような気がした。
初めてテレビ版の「攻殻機動隊」を観たときのような。ああ、アニメでこういう表現をやってもいいんだなという驚きというか。
漢字・片仮名混じり文や旧字の使用も面白い。写真を加工した表現や、背景の電柱や車などの色づかい、その背景の物体を複製羅列して静かで無機質なイメージの世界観を出している。道路に刷られた四字熟語や、通り過ぎる車にも文字が入っていて、それは一時停止してみてやっと確認できるほどだけど、それも独特の雰囲気作りに一役買っている。
登場人物ごとによる違うオープニングにも驚かされた。そんな遊び心もいい。
そういう見た目の問題もさることながら、やはり登場人物たちのヘンテコでテンポの良い会話がいいのだろう。
阿良々木と戦場ヶ原の会話のキャッチボールというか、阿良々木はボールを投げているが戦場ヶ原は間違いなくバットそのものを投げ返している感じがある。全力で。
オタクがオタクで良かったなあと思う作品なのではないか。面白いと思う人は面白いと思う作品。
八九寺真宵の回は良かった。
いまどき「I LOVE YOU」て。それ、言うか。