玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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スターバックスの「こんにちは」

 ▼家の近くにスターバックスができたので、たまに利用する。スターバックスでは「いらっしゃいませ」の代わりに「こんにちは」と言われる。あの「こんにちは」に対して、どうしていいのかわからない。

陽気なアメリカ人でもない、爽やかな好青年でもない私は「こんにちは」と返すこともできず、ギクシャクとした引きつるような微笑みを浮かべるのが精一杯だ。銃を突きつけられると、ちょうどあんな感じになります。知らないけど。

「いらっしゃいませ」ならば、受け流すことに慣れているけれど「こんにちは」だと、挨拶を返さないと申し訳ない気になる。ただ、あの「こんにちは」は「いらっしゃいませ」とほぼ同じ意味だとすれば「こんにちは」と馬鹿正直に返すのもどうなんだ、どうなんでしょう?どうでもいいわー。

▼友人の家に遊びに行く。相変わらず元気な5歳児と遊ぶ。彼が開けられなかったビンを開けてあげると「ありがとう」と言われた。「すみません」じゃないんだよなあ。「ありがとう」なんだなあ。社会人になってからは、確実に「スミマセン族」に属してしまっているけれど、いつか「アリガトウ族」に戻りたいもの。

しかし、5歳で「すみません」だったらちょっと気味が悪い。小学生になったら「恐縮です」とか言う。おっさんか。

▼「いらっしゃいませ」より「こんにちは」のほうが素敵かもしれない。あの挨拶はスターバックスの戦略なのだろうけれど、そういうことは抜きにして「こんにちは」が定着するのも良いことかもしれない。その親しみやすさから会話も生まれるかもしれない。

誰かと出会ったときに、敬語や「さん付け」から入ると、なかなかその関係から抜けられないように、形が関係を決めてしまうことってあると思う。

スターバックスのことを書いたついでなので書いておくが、店内でノートパソコンをひろげて仕事をしている人をよく見かける。だいたい、ちょっとお洒落で外資系企業にでも勤めていそうな、いかにもモテそうな雰囲気なのである。

モテそうな奴め、と思う。あれを見るたびに、どこかの誰かが、モテそうな奴だけが死に至るウィルスを開発してくれんかなと思う。