玉川上水日記

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映画「ALWAYS 三丁目の夕日」

ALWAYS 三丁目の夕日
2005年 / 日本 / 監督:山崎貴 / コメディ


昭和いいとこどり。
【あらすじ】
昭和33年。東京タワー完成の年。あの頃は輝いていたとか、いないとか。

【感想】ネタバレしてません。
昭和の活気があるさま、豊かになっていく様子がいろんな人々の視線で語られます。一応主役はいるけれど、みんなそれぞれ見せ場があって、ちょっとオムニバスっぽくもあります。

わたしは生まれていないので、懐かしいというよりもSFを観るような感覚に近いですね。路面電車オート三輪、建設途中の東京タワー、氷屋、商店街、銀座の街並み、昭和三十年代の風景は眺めているだけで楽しいです。

わたしは、この時代にあまりいい印象はない。父親の話の影響が大きいのだろう。ケンカでレンガで殴られて、頭が割れて血だらけで病院に行ったとか、そんな心温まるエピソードが盛りだくさん。とにかく荒っぽい時代である。

それは犯罪件数の多さもそうだし、高度経済成長期に入り景気は良くなった反面、公害が問題化してきている。高度経済成長の要因も朝鮮戦争の影響が大きい。もろ手をあげて喜べない背景がある。この映画ではそういった暗い背景は語られず、貧しくとも助け合う人々に焦点があてられている。それでいいと思うんですよね。何もかも描けるわけでもないし。

それと、いささかセリフで説明しすぎるきらいがありますが、子どもと一緒に観るぶんにはいいかもしれない。小雪がストリッパーに戻るところなんかは、子供と一緒に観られる映画としてはギリギリのラインだったのかなと思います。

あと、小雪はストリッパーの役をやりそうもないイメージがあるんですよね。「わたし、そういうのはちょっと‥‥」とか言いそうじゃないか!なんだよ、ちょっとって!お高くとまってらして。そういう偏見?職業差別?いけないと思います!そもそも、わたしの小雪への偏見がひどいです。小雪はべつに何も言ってないし。

小雪は置いとくとして、今までなかった物が出てきてどんどん便利になっていくのは楽しかったんだろうなあ。三種の神器といわれる、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、特にテレビが家庭に入ったときなどはお祭り騒ぎだったのではないか。わたしが生まれてからの大きな革命というのはインターネットだけど、それもこの時代のテレビの熱狂には遠く及ばない気がするのだ。

ご近所同士の付き合いも土足で踏み込んでいく感じだ。プライバシーなんてどこにもない。プライバシーさんは路面電車にひかれて死んでましたよとか、そんな具合である。この時代の人間関係の濃密さが、現代の希薄さの裏返しとしてうらやましがられるのかもしれない。

すべてが良かったわけでも、すべてが悪かったわけでもないのだろう。その時代にはその時代の良さや悪さがある。両親が生きた時代とはどんなものだったのだろうと仄かな憧れをもって眺めていた。


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