玉川上水日記

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映画「127時間」

127時間
2010年 / アメリカ、イギリス / 監督:ダニー・ボイル / 実際の出来事を基にした映画


岩に手を挟まれて、人生について考える。他にやることもないので‥‥。
【あらすじ】
遊びに行ったら、岩に手が挟まってしまいました‥‥。

【感想】ネタバレしてませんがばれそう。
主人公アーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は気ままに生きている。親兄弟から電話があってもかろやかに無視し、職場の同僚にも行く先は告げず、キャニオンランズ国立公園に遊びに来ていた。俺を縛れるものは何もない。音楽、自転車、山歩き、それだけあればごきげんだ!とアーロンさんのテンションは高い。移動はデフォルトで駆け足。小学生男子か。

自転車で岩山のような山道をかっ飛ばし、転んでも気にしない。転んで痛がっている自分をビデオカメラで撮影して笑い転げてる。異常なまでのテンションの高さ。おかしなクスリでもやってませんか。そんなアーロンさんだったが崖の間を通っているときに落下して、岩に右手を挟まれてしまう。

「やってしまった‥‥、のか?」の図。落ちたてホヤホヤなので、まだ事態が飲み込めてない。

しかしこの映画はすごいですよ。「手を挟まれて困ってるわたし」という、それだけをずーっと撮り続けてるのだ。これで2時間もつのだろうかと心配したけど、もってしまった。見事。

疲労や空腹、寒さ、飢えなどでさまざまな幻覚を見る。でも、3、4日目なんて意外とまだ元気なんですよね。ビデオカメラを回して「はい!今日、ゲストに来ていただいたのはアーロンです!やあ、みんな元気かい!」などと、テレビごっこをやりだす。ま、あれは疲れすぎて頭おかしくなってたのかも。

絶望的な状況なんだけど、観ていてあんまり悲壮感がないのがいい。アーロンさんが気楽な性格だからかもしれない。状況はひどいがその中でやれることはやってるし、あまり取り乱したりすることもない。すごい精神力だと思います。教訓めいたところはあるのだけど説教臭くないのもいい。

もし自分が同じような状況に陥ったらどうするのだろうとか、自分にとっての「岩」とはなんだろうとか、観ている人によって見えているものが異なる映画ではないでしょうか。芥川が書いたら「岩」って題名で教科書に載りそうな話ですね。途中、オナニーしようとしますが。それはどうでもいいか。

痛そうなシーンがありますので、そういうのが苦手な方は避けたほうがいいかも。ちょっと変わった映画でした。なにせずっと挟まってるよ。


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