玉川上水日記

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映画「アウトレイジ」 5分に1回の「てめぇ、ぶっ殺すぞバカヤロー!」

▼映画「アウトレイジ」 感想

北野武監督のアウトレイジを観てきました。

激しい映画でした。

関東一円を仕切る巨大暴力組織、山王会会長関内(北村総一郎)が若頭(三浦友和)に苦言を呈する場面から、物語は始まる。

関内は、自分の直系の部下の池元(國村隼)が村瀬組の組長村瀬(石橋蓮司)と親しくしているのが面白くない。若頭の加藤は、池元に村瀬組をしめあげるよう命令した。

しかし、池元は村瀬と兄弟分の盃を交わしていたので、あまり手荒なこともできない。

関内からにらまれていることで焦った池元は、自分の配下である大友組組長大友(ビートたけし)に、村瀬と外見上揉めているように見えるよう、軽いいざこざを起こすよう命じた。

しかし、そこはさすがヤクザ。手加減などできるはずもなく、軽いいざこざどころか、血みどろの抗争を巻き起こしてしまうのだった。

出てくるヤクザたちの行動が、会社の人間関係のようで面白い。

「俺は全然気にしてないんだけど、先方がうるさくて。形だけでいいから頭下げといてよ」とか「先方にガツーンっと言ってやりましたよ!もうあんなことさせませんから!(実は何も先方に言えてない)」とか。

こういうのは仕事ではままあるけど、生活の中にある嫉妬、上司や部下への見栄、媚び、そういう矮小な感情をギットギトの暴力で味付けした感じの映画だった。もはや仁義もへったくれもなく、ひたすらずるく出世や金や己の権力欲を満たそうとする人間ばかりなのに、なぜか憎めないし笑える。

それは、暴力を取り除いてしまえば自分たちの姿とそっくりだからかもしれない。

普段ヤクザ物には出ない加瀬亮インテリヤクザ)、小日向文世(マル暴の汚職刑事)、三浦友和(若頭)も、見事に嵌まっている。特に小日向とたけしのやりとりは、恐いのに笑える。

椎名桔平が特に格好良く撮られていた。

それと、観た方に「車のシーン」といえばわかると思うが、あのシーンは夢に出そうで怖い。怖すぎる描写であった。

凄まじい抗争でほとんどの登場人物は死に絶えるが、生き延びたのがわりと普通に見える人たち。そういう人間がもっとも狡賢いということなのかもしれない。

とにかく観ていて目を背けたくなるシーンが満載なので、とても万人にお薦めできないものの、ちょっと笑えるシーンも随所にあり、暴力映画さながらの爽快感もあるので好きな人には是非観てほしい映画。

それにしても村瀬(石橋蓮司)のやられっぷりは、かなり面白い。あのお茶目なやられっぷりを観るだけでも映画代は惜しくない。

アウトレイジ予告編

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